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神戸モダン建築祭2024
(2024/11/22~24)

神戸モダン建築祭2024
パンフレット

神戸モダン建築祭は「神戸の記憶を受け継ぐモダン建築が、年に一度、一斉に扉を開く」イベントです。建築祭パスポート(オンライン決済は3,000円)で市内23建築が見学できる他、専門家の解説を聴きなが巡るガイドツアーも開催されました。また建築祭と連動した様々なイベントやツアーも実施されました。

私は昨年2023年の建築祭にも参加したので、今年新たに見学可能となった建物を中心に見学してきました。


【兵庫地区】

兵庫地区の公開建築

21.北の椅子と

かつては兵庫運河の近辺には多くの製材所、材木店があり兵庫運河を貯木場として使用していました。「北の椅子と」には現在唯一の製材所が残っています。兵庫運河は一時期水質悪化で悪臭が漂う運河でしたが、周辺企業と住民による水質改善と清掃活動により綺麗な水質を取り戻しました。今では運河の底が見えるくらい澄んでいて魚が泳いでいるのが見えました。ボラ、クロダイ、ワタリガニ、夏にはエイも見られるとのこと。

兵庫運河 和田旋回橋(JR和田岬線)

製材所の横には北欧ビンテージ家具のショップとカフェを併設しています。

神戸市の森林保全活動に参加して神戸市内で伐採された原木をここで製材しています。原木として市内の街路樹が運び込まれることもあります。この時搬入していた原木は唐櫃台の市営住宅建設現場で伐採された原木とのこと。製材後の材木はテーブルや椅子などに加工され主に公共施設で使用されています。


製材機

22.小池加工所

兵庫運河近辺の製材所から運ばれた材木を加工していた木材加工所です。1947年頃に木造の建物が建てられ、その後増築され1980年代に鉄骨造りの建物ができました。2024年から建築家、木工作家などのアトリエとして活用されています。





【北野、山手、元町、三宮地区】

北野、山手、元町、三宮地区の公開建築

D.海外移住と文化の交流センター

1928年に神戸移住センター(当時の名称:国立移民収容所)が開設され、1971年に閉鎖されるまで南米を中心にした移住者を支援する施設として利用されました。
1928年に建設された建物は鉄筋コンクリートの5階建て(本館)の寝台数600をそなえた施設で、1930年に北側に別館が増築され1100名の宿泊が可能となりました。

その後看護学校や気象台庁舎として使われた後、建物の保存・再整備が行われ2009年から海外移住と文化の交流センターとして利用されています。
館内には移住ミュージアムがあり、昔の神戸の街並みや海外移住の歴史、移住先への道のりや暮らしを当時の映像・写真で紹介していて、自由に見学できます。
また在住外国人の支援、在住外国人同士の交流、市民と在住外国人との交流の機会や場所としても使用されています。
さらにアート作品の展覧会やアーティストのアトリエとしても使用されています。

海外移住と文化の交流センター

阪神淡路大震災にも耐えた本館の壁は、工事で穴を開けようとしても簡単に穴が開けられない頑丈なコンクリートとのこと。

本館の階段

神戸モダン建築祭の連携企画としてC.A.P.(特定非営利活動法人 芸術と計画会議)が主催する見学ツアーに参加しました。このツアーで通常は非公開の北側の別館を見学しました。

給水塔 洗濯場

本館と別館の間には、神戸移住センター時代に使われていた給水塔と洗濯場が残っています。

別館跡 別館の壁

北側の別館は2008年の再整備工事で解体撤去され壁だけが残っています。

別館の壁と給水塔(南側から見た) 鉄骨で補強された別館の壁(北側から見た)

現在の別館は木工や陶芸のアトリエとして使用されています。製材作業を「21北の椅子と」に依頼することもあるとのこと。

木工に使う原木 陶芸用の電気釜を設置

6.神戸ムスリムモスク

1935年に建築された日本で最初のイスラムのモスクです。

ミフラーブは礼拝時の方向「メッカのカーバ神殿」を示す重要な役割があります。

ミフラーブ


7.リランズゲート

神戸・北野には建築家・安藤忠雄さんが手掛けた建築が多いです。1986年に建築されたリランズゲートもその一つです。

安藤忠雄さんの多くの作品が2棟の建物から構成されているのは安藤忠雄さんが双子だからとのこと。迷路の様な構成は安藤建築の特徴です。

9.日本基督教団 神戸教会

プロテスタントの教会で、1932年に建築された4代目の建物です。




10.クラブ月世界

1969年に会員制のキャバレーとしてオープンしました。


クルーズ客船によく乗船する私にとっては、どこかの船のシアターやラウンジとしてありそうな施設です。


2階席から

【港湾地区】

港湾地区の公開建築

12.神戸税関

神戸税関は1868年江戸幕府により兵庫運上所として開設されました。現在は1927年に建築された旧本関(2代目)と1998年に増築された新館(3代目)から構成されています。

神戸税関 旧本関庁舎 旧本関時計台

旧本関玄関ホール

現在中庭となっている所はかつては屋根があって事務所として使われていました。

中庭から旧本関を見る 中庭から新館を見る

1998年に増築された新館は旧本関と統一した外観になっています。

新館玄関ホールから旧本関側を見る 新館玄関ホール

新館の屋上が公開され、神戸港の様子が間近に見られます。

歴史ある倉庫群は撤去されるのか? 建築中のアリーナは間もなく完成

神戸商工貿易センタービル(左)
旧本関時計台(右)
宮崎行きカーフェリー

15.神戸商工貿易センタービル

神戸港開港100年を記念して1969年に建設されました。東京の霞が関ビルに続く日本で2棟目の超高層ビルです。

神戸税関新館屋上から 竣工当時の概要(PDF)

当初は最上階の26階には展望ラウンジがありましたが今は会議室として使用されています。建築祭では会議室の1室が公開されました。



【六甲、御影地区】

六甲、御影地区の公開建築

17.神戸松蔭女学院大学

「中世のヨーロッパの丘に立つ街のイメージ」で建築されたキャンパンスです。

神戸松蔭女学院大学のキャンパス

建築祭ではチャペルが公開されました。

マグダレンチャペル


18.神戸市立美野丘小学校

1955年に建築された円形校舎です。設計した坂本鹿名夫氏は全国に100棟以上の円形建築を設計しましたが現存するのは極僅かです。神戸市内にも他に幾つかの円形校舎が建てられ、神戸市立北須磨小学校の校舎も現役です。



校舎中央の螺旋階段

校舎の屋上

屋上からの景色

19.兵庫県立 神戸高等学校

1938年に建設された2代目校舎です。解体の危機に見舞われましたが卒業生等の保存活動によりシンボリックな部分が現存できました。



神戸高校前の坂道は「地獄坂」と呼ばれる長く急な坂道です。

地獄坂

20.甲南漬資料館

1930年に建築された高嶋家の邸宅で、国の登録有形文化財に指定されています。

2階の寝室

2階の天井

階段

1階

建物内の各部屋にはヒーターが設置されていて1階には蒸気を供給するラジエターがあります。

ステンドグラス ラジエター

1階(現喫茶室)

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