ふなむしのページ

オレンジフェリー乗り比べ
おれんじえひめ見学会、処女航海
(2018/8/25)

おれんじえひめ
(2018年8月25日就航)
総トン数14,749トン
全長199.9m、全幅27.5m

日本クルーズ&フェリー学会の企画で、新旧オレンジフェリーの乗船会に行ってきました。この乗船会では大阪~東予の「おれんじ8」の最終航海に乗船し、帰りは東予~大阪の「おれんじえひめ」の処女航海に乗船しました。さらに、東予港では「おれんじえひめ」の見学会に参加しました。

①おれんじ8最終航海
②おれんじえひめ見学会、処女航海(このページ)


◆おれんじえひめ 見学会

見学会は、招待客用の午前と一般用の午後開催されました。我々は午前の部に参加しました。午前、午後とも多くの参加者があり、広い駐車場が混雑しました。特に見学会終了後の退場者の列が大渋滞で、港から県道に出るのに長時間掛かっていました。

船内案内図(拡大図) 要目表(拡大図)

●船室

本船は、雑魚寝の大部屋や寝台室がなくなり、全室個室で話題になっています。

本船より各等級の名前が変わっています。特別室⇒ロイヤル、特等A⇒スイート、1等⇒デラックスシングル、2等寝台⇒シングル。料金は「おれんじ8」の料金と同じですが、2隻目の「おれんじおおさか」就航時に価格改定が予定されています。

※2018/9/12に「おれんじおおさか」が12月6日から就航すると発表され、同時に新運賃が発表されました。新運賃はA,B,Cの各期間により3パターンに分かれます。2018年12月の運賃は、A期間(年末の繁忙期)とB期間(金曜、土曜)は現行より高くなり、C期間(その他の日)は現行より若干安い運賃です。貸切料金は現行の30%からアップし、新運賃では50%になっています。

ロイヤル 寝室 ロイヤル 居室 ロイヤル バスルーム

ロイヤルのバスルームはトイレと別れていて、身体はバスタブの外で洗うタイプです。

スイート以下の部屋には、バス/シャワー・トイレはありません。スイートの名前に違和感ありです。「おれんじ8」はかつて昼便を運航していて、掃除の時間が取れないので特等でもバス・トイレを設けていないと認識していました。本船は昼便がないので、スイート(旧特等)にはバス・トイレが付くものと思っていました。

スイート洋室 スイート和洋室 スイート和室

個室のキーはカードキーではなく、案内所で受け取る昔ながらのキーです。但し、シングル(旧2等寝台)にはキーはありません。部屋の中からロックできますが、部屋の外に出る時にはロックできないので、貴重品を携行する必要があります。ここも中途半端です。

シングル(1人部屋)とシングルプラス(2人部屋)は同じ料金(1人当り)です。どのような売り方なのでしょうか?

ドライバールームもシングルと同じ仕様です。

デラックスシングル
※自転車固定用のスタンド
シングルプラス シングル

デラックスシングル、シングルの部屋の椅子を含め、船内のほとんどの椅子が床に固定されていて非常に使い難いです。掃除も大変かもしれません。

バリアフリーの船室はスイート、デラックスシングル、シングルの各等級に用意され、一カ所に集中配置されています。その近くには、専用のトイレ、浴室が設置されています。また、バリアフリーの船室の一部は隣の部屋と行き来できるコネクティングルームです。

ペットと一緒に泊まれる船室は、スイート、デラックスシングルに用意されていて、船尾にあります。

デラックスシングルにはマイバイクステイサービス(予約制 有料)が設定されていて、自転車を分解せずにそのまま船室に持ち込むことができます。

●パブリックスペース

エントランスは3層吹き抜けで明るい雰囲気です。

エントランス

案内所(左) デッキ4 

「フライングガーデン」(福島万里子作)
デッキ5

最上階のデッキ6には広い展望ラウンジがあって、ゆったりした座席配置です。天井も高いです。

展望ラウンジ

船首ラウンジは、ロイヤル、スイート専用です。

船首のラウンジ 

オレンジフェリーの通路は広くて上質な雰囲気です。

客室が並ぶ通路

案内図は、液晶パネル式でない、オーソドックスなタイプです。

船内案内図

レストランは船尾にありますが、強いシアーが掛かっていて、階段状に3区画に分かれています。通路はスロープになっています。レストランの船尾側には団体用と思われる個室、ドライバー用のレストランがあります。

3区画に分かれたレストラン 団体用?個室レストラン

大浴場の隣にシャワールームがあります。入口に使用状況を知らせるパネルがあります。

大浴場

シャワールームと使用状況を示すパネル

●ブリッジ

ブリッジは広々としています。

ブリッジ




昼食を食べた休暇村からの帰りに順光の写真が撮れました。




◆おれんじえひめ 処女航海

ターミナル1Fで乗船手続きを終了後、エレベーターかエスカレーターで4Fの待合所へ上がります。待合所からスロープを使って乗船すると本船のエントランスになります。「おれんじ8」にあった船内エスカレーターは本船では必要なくなり、設置されていません。

シングルを利用しました。シングルにはキーが用意されていないことをこの時知りました。

●レストランで夕食

自分の個室に荷物を置き、直ぐにレストランに行きました。レストランは未だ空いていてカウンターに並ぶ列も少なかったのですが、私の前で列が停まってしまいました。レジのシステムに”シチュー”のメニュが登録されていなかった様で、その対応に時間が掛かって長い列が出来てしまいました。

料理はカフェテリアの列から選んで最後に会計します。定食や麺類などは会計の所で注文し、料理が出来上がると放送で呼び出しがあって、受取に行きます。

私の知人にトラブル発生です。”ステーキ定食”を注文した後、長時間待って出てきたのはステーキのみで、御飯とみそ汁がありません。レシートには”ステーキ定食”と記載されているのに、その横にはステーキ単品の料金が記載されていて、ちぐはぐな表示になっています。これもレジシステムへの入力ミスが原因と思われます。御飯とみそ汁の追加を要求したら、別料金になって"ステーキ定食”より100円高くなってしまいました。

御飯のお替りが欲しかったのですが、長い列に並ぶのが嫌だったの諦めました。御飯やみそ汁でさえ、その場で提供されず、全て放送で呼び出しがあってから受け取りに行くシステムです。お茶が欲しかったのですが、サーバーからはお湯しか出ませんでした。レストラン内は混乱状態で係の人に聞くのも偲びない状態だったので、お湯で我慢しました。

ワインはワイングラスなのに、生ビールはプラスチックの容器で、拘りがあるのかないのか。「カシャン」遠くでガラスが割れる音が聞こえて来ました。ワイングラスを落としたかな。

●東予港 出港

処女航海は定刻に出港できました。岸壁には多くの方が見送りに来てくれました。


岸壁は多数の見送り 見送りに応える乗組員

本船には売店がありません。自動販売機では飲み物やおつまみに混ざってタオルやは歯ブラシも売っていました。ビールやカップラーメンは見当たりませんでした。商品によっては乗船時から売切れの物があり、まだ補充が充分に出来ていないようです。コーヒーの自動販売機はまだ調整中です。

タオルと歯ブラシを販売  調整中のコーヒマシン



●大阪港 入港

4:30に明石海峡を通過しました。

明石海峡通過 

朝、シャワー室を使いました。脱衣所が広くて使い勝手が良いです。

聞くところによると、夕べ大浴場で排水トラブルのため、バケツリレーがあったとか。喫煙所の天井の空調吹き出し口から水が滴り落ちていました。確かに湿度は高いですが。 処女航海はトラブル覚悟ですね。

間もなく日の出 

お目覚め曲は、いきものがかりの「茜色の約束」。同じ茜色でも、曲は夕日で、こちらは朝日。

朝日に向かって入港 

ほぼ定刻に着岸 

●レストランで朝食

6:00の着岸後8:00まで船内に残れます。着岸後にレストランで朝食を取りました。大阪着岸時の朝食はバイキングです。

朝食でも問題ありです。入口で食券を渡してレストランに入ると、あるハズのトレーがない。良く見ると、カウンターの並び順が夕食時とは逆で、一旦レストランの奥に行って、そこから並ぶ必要があります。何故に? オレンジジュースと牛乳がありますがそこにコップがありません。コップは通路を挟んで逆側です。私の知人は朝カレーを食べようとしましたが、どこにもスプーンがありません。

レストランが3区間に分かれている問題も顕在化。段差があって危険と考えたのか、各々の区画間を結ぶ階段はなく、料理を取る人が並んでいるスロープに出ないと行き来できません。空き席を探して右往左往している人がいました。

●下船

エントランスを出ると、真新しいボーディングブリッジを通って下船します。その後長いスロープを歩くと、南港フェリーターミナルの待合所に出ます。

下船する時には、上部車両甲板のランプウェイは上がった状態でした。舫い綱が邪魔しているようですが、大阪ではこのランプウェイは使わないのでしょうか? 東予港では上部車両甲板にトラックやトレラーを積んでいました。それとも、上部車両甲板の車両は、もう下船してしまって、舫いを掛けなおした?

上がった状態の上部車両甲板のランプウェイ 真新しいボーディングブリッジを使って下船

●まとめ

明るく、広い船内は上質感があります。船が大きくなった効果が出てパブリックスペースはゆったりしています。オール個室化も先進性があり歓迎です。皆さん自分のベッドで寝たようで、「おれんじ8」の混雑時にはあたりまえのラウンジで夜明かしした人を見かけませんでした。

運航、荷役だけでなく、客室や大浴場、レストランのトライアルも必要です。もし募集があったら、ボランティアでも参加したいです。

初期トラブルは、あまり日数を経ずに解消されることでしょう。でも、シングルにキーを設置することは可能性は低いし、スイートにバス・トイレを追加設置することは不可能でしょう。残念です。


2018年乗船記へのリンク
トップページへのリンク

ふなむしのページ