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シースピカ
瀬戸内しまたびライン乗船記
(2024/4/7)

シースピカ(瀬戸内シーライン)
全長:25.7m、 幅:6.8m
総トン数:90トン
建造:2020年

瀬戸内海汽船グループの瀬戸内シーラインが運航するシースピカの瀬戸内しまたびラインクルーズに乗船しました。

瀬戸内しまたびライン乗船記(4/7)
てつのくじら館 宇品~呉フェリー乗り比べ(4/8)
三原~呉~宇品で出会った船(4/7~4/8)


シースピカはJR西日本が策定した、地域とともに瀬戸内の魅力を発信する「せとうち パレットプロジェクト」の一環で開発された観光型クルーザーです。瀬戸内島たびコーポレーションと鉄道建設・運輸施設整備支援機構が共同建造しました。
※瀬戸内島たびコーポレーションは瀬戸内シーライン(瀬戸内海汽船グループ)とJR西日本イノベーションズ(JR西日本グループ)の共同出資会社です。

船名のSEA SPICAは海の「SEA」とおとめ座の一番星「SPICA」を組合わせて命名されました。「この船が、瀬戸内の海で青白く美しい輝きを放ちながら、お客様を自由で開放的な旅に誘いたい」の思いが込められています。

瀬戸内海汽船の観光クルーズとしては水中翼船で瀬戸内を巡るSTSラインがありました。その後、水中翼船から高速船「安芸灘」に変えて実施したクルーズに乗船した事があります。

瀬戸内しまたびラインクルーズ
ルートマップ

シースピカのクルーズは「瀬戸内しまたびラインクルーズ」の名前で瀬戸内シーラインが運航しています。2024年の運航計画表によると、3月は尾道発着のチャータークルーズ(瀬戸内海汽船トラベルサービス)、4月~12月初旬の金・土・日・月には定期便として広島~三原を一往復します。

定期便の午前便は広島→三原(東向きコース)を運航し、途中下蒲刈島と大久野島に上陸観光します。午後便は三原→広島(西向きコース)を運航し、途中大久野島と大崎下島に上陸観光します。料金は7,000円~8,000円(大人・片道)です。

乗船だけのプランの他に三原や瀬戸田で「たこ会席」の昼食を食べるプランや、観光列車「etSETOra(エトセトラ)」を組合わせたプランが販売されています。

標準時刻 西向き
コース
東向き
コース
三原港 13:25発 13:05着
瀬戸田港 13:50発 12:40着
大久野島 14:05~14:35 11:55~12:25
大崎下島 15:10~16:10
下蒲刈島 09:50~11:00
呉港 17:25着 09:05発
プリンスホテル 17:52着 08:38発
広島港・宇品 18:00着 08:30発

【シースピカ乗船】

午後の西向きコース(三原→広島)に乗船しました。

広島から午前便が三原港に入港

午前便の乗船客が下船

午前便からはそこそこの数の乗船客が下船しました。その後午後便に備えて船内清掃が行われていました。
桟橋には午前便と同じくらいの数の人が待っていましたが、シースピカに乗船したのは3人のみでその他の人達は近隣の島に行く船に乗船するみたいです。

シースピカの客室は前面に大きなモニターがあって地図で現在地や周辺の状況を表示したり、ビデオで観光紹介などができます。窓側の席は窓外の景色が見易い様に、少し角度を付けて配置されています。船尾側にはカウンターがあってお土産品の販売をしていました。

1階の客室 前方を見る

2階のデッキの前方にも大きなモニターがあります。船内放送の観光ガイドの内容は2階に居ても明瞭に聞こえます。
2階の椅子はゆったりと配置され、通常の船と比べると上質で居心地が良いです。

2階前方を見る 2階後方を見る

【三原港出港】

12:25 定刻に三原を出港しました。2階船尾の椅子からは航跡が楽しめます。

三原港出港 船尾の椅子

【瀬戸田】

船内放送で桜の名所の説明がありました。海上は少し靄っていましたが満開の桜が見えました。

佐木島・塔の峰千本桜 佐木島・向田港

生口島と高根島を結ぶ高根大橋をくぐると瀬戸田港です。このクルーズでは生口島・瀬戸田港からの乗船が可能ですが、今航では乗船者はいませんでした。
しまなみ街道ができるまでは瀬戸田港は多くの観光客で賑わっていましたが、今は寂しげです。

高根大橋をくぐって瀬戸田港前を通過

遠くに多々良大橋が見えました。多々良大橋はしまなみ海道の一部で生口島と大三島を結ぶ国内最大の斜張橋です。

生口島と大三島を結ぶ多々良大橋

【大久野島】

大久野島はウサギの島として知られる周囲4.3Kmの島です。島全体が国有地です。宿泊施設・休暇村大久野島がありますが、定住者がいないので無人島として分類している資料があるとのこと。現在生息しているウサギは1971年に地元の小学校で飼われていた8羽が放されて野生化し繁殖したという説が最有力(wikipedia)です。


大久野島 大久野島灯台

大久野島 第一桟橋

シースピカの船内でウサギのエサが販売されていました。




休暇村西側の海岸線 休暇村大久野島

昭和初期から終戦までは大日本帝国陸軍の毒ガス製造工場があり、機密性確保のため大久野島は一般の地図には掲載されていなかったとのこと。現在島内には毒ガス資料館があって見学できます。さらにその隣には防空壕の跡も残っています。

毒ガス資料館 防空壕跡

【大崎下島(御手洗)】

大崎下島・御手洗港までは小さな島の間を縫って走ります。岡村島は愛媛県今治市、大崎下島・中ノ島・平羅島・小島は広島県呉市に属し、ここに県境があります。

中の瀬戸大橋


御手洗港

江戸時代に潮待ち・風待ちの港として御手洗は急速に発展しました。

高燈籠

千砂子波止

多くの船や人で栄えた御手洗には花街があり、当時の建物が現存していて食堂やカフェとして使われています。

食堂 船宿カフェ

御手洗の中心部には古い街並みが残っていて時代スリップした感じがします。

常盤町通り 旧柴屋住宅(市文化財)

時計店 玩具ミュージアム

御手洗の神社の桜が満開で綺麗です。

住吉神社 御手洗天満神社

御手洗港出港後は、小島の東を通過し岡村大橋の下をくぐって北上します。

御手洗港出港 小島の東を通過し岡村大橋へ

【大崎下島~呉】

岡村島(今治市)から呉市川尻町までは橋で繋がっています。
岡村島~(岡村大橋)~中ノ島~(中の瀬戸大橋)~平羅島~(平羅橋)~大崎下島~(豊浜大橋)~豊島~(豊島大橋)~上蒲刈島~(蒲刈大橋)~下蒲刈島~(安芸灘大橋)~呉市川尻町

豊島大橋 蒲刈大橋

安芸灘大橋

音戸の瀬戸通過はこのクルーズの見所の一つです。東側から来たシースピカは急減速して大きく右に舵を切ります。

音戸の瀬戸は平清盛が開削したといわれる人工の水路です。

右に大きく舵を切る 音戸大橋、第二音戸大橋をくぐる

音戸の瀬戸に掛かる音戸大橋、第二音戸大橋を通過すると速度を上げて呉に向かいます。

音戸の瀬戸には対岸を結ぶ渡船(音戸の渡し)が運航されていましたが、2021年10月31日に廃止されました。

【呉】

呉には日本製鉄瀬戸内製鉄所の事業所がありましたが2023年9月に全設備が停止し、今後の約10年間に設備が解体されます。

日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区 跡地

呉では海上自衛隊の自衛艦の間近まで接近してくれました。船内放送による自衛艦の説明は専門的かつ詳細で、まるで呉湾艦船めぐりに乗船しているみたいです。
ここで見られた自衛艦については、ふなむしの写真館(三原~呉~宇品で出会った船)で参照できます。

ジャパンマリンユナイテッド呉事業所の前身は呉海軍工廠で、戦艦大和はここで建造されました。この日4月7日は79年前(1945年4月7日)に鹿児島県坊ノ岬沖で戦艦大和が撃沈された日です。呉市内の長迫公園(旧海軍基地)では戦没79年追悼式が開催されました。

JMU(ジャパンマリンユナイテッド)呉事業所 大和のふるさと

大和ミュージアム てつのくじら館

このクルーズは呉と広島プリンスホテルで下船できます。呉で他のお客さんが下船したので広島港・宇品まで貸切になりました。

【広島港・宇品入港】

定刻より少し早く広島港・宇品に到着しました。

広島港・宇品入港

上質な船でコース内容も面白く楽しめました。今航の乗船客は少なかったですが、外国人にも受けそうなコースなのでSNSなどで評判が伝わると爆発的に人気が出る可能性を持っています。

シースピカの夜間の係留場所は江田島・小用です。下船して間もなくするとシースピカは小用に向け出港して行きました。


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