日本クルーズ&フェリー学会講演会(2019)
(2019/10/26)



日本クルーズ&フェリー学会
設立総会 2010年10月9日
2011講演会2011年11月12日
2012講演会2012年11月17日
2013講演会2013年10月26日
2014講演会2014年11月22日
2015講演会2015年11月21日
2016講演会2016年11月12日
2017講演会2017年11月11日
2018講演会2018年10月26日

クルーズ客船&フェリー研究会
第14回 2010年2月27日
第13回 2002年7月13日
第12回 2000年11月18日~19日


日本クルーズ&フェリー学会の総会と講演会が大阪府立大学 難波サテライトI-Siteで開催され95名の参加者がありました。

■講演会

講演内容(要約)
会長挨拶(梅田会長)
先日、台湾、韓国、対馬を船で訪問した。この海域には長期的には未来があるが、直近には解決しなければならない問題がある。
本会で解決のためのアイデアを見出したい。
クルーズセッション
パネルディスカッション:クルーズ振興を支える諸団体の活動と役割
司会 赤井伸郎(大阪大学)

林健太郎(国土交通省 港湾局・全国クルーズ活性化会議)
山本三夫(みなと総研クルーズ研究所)
鎌田佳宜(北海道クルーズ振興協議会)
前川一郎(関西クルーズ振興協議会)
山口直彦(日本外航客船協会)
各団体の活動
(港湾局)
■「お断りゼロ」の実現
クルーズ船の寄港希望に対して、インフラが追い付いていない。
貨物船用岸壁の利用検討(客船は風圧受けやすく、岸壁の必要強度が高い)。寄港可能な港湾を船社へ紹介、港湾自治体との調整。
■クルーズワンストップ窓口
船社、港湾管理者、その他官公庁などとの間の調整役を果たす。
代理店を持たない船社への情報提供、スケジュール変更に伴い急遽必要となったCIQ業務の調整。
■国際クルーズ拠点の形成(現在9港)
岸壁は国が整備し、上物は船社が投資。投資した船社に岸壁の優先使用権を与える。

(全国クルーズ活性化会議)
クルーズ振興や誘致に関する情報の共有、意見交換。海外クルーズ船社との商談会開催。港湾に関する情報のWEBでの配信。

(みなと総研クルーズ研究所)
クルーズに関する受託研究(2018年度27件)、自主研究の実施。人材育成のためのセミナーの開催、講師派遣。

(北海道クルーズ振興協議会)
■クルーズ船の寄港誘致
カジュアル船の北海道寄港が少ない。カムチャッカ経由の太平洋横断船の寄港が増えた。
小型の冒険・探検船の寄港を誘致。海外船社のキーパンソンを招請して北海道の魅力を伝える。
■第一回クルーズオブザイヤーグランプリ受賞(2008年)
にっぽん丸の「飛んでクルーズ北海道」の成功により、商船三井客船と共に受賞した。
クルーズ初心者を多く取り込めた。乗船者は全国から集まったが、30%が北海道民だった。

(関西クルーズ振興協議会)
■神戸・大阪の2大港が存在
当初は2つの協議会が創設される予定だったが、統一した協議会に集約。
将来のクルーズ振興を目的に、共同で活動している。

(日本外航客船協会)
■振興活動・広報活動への取組
クルーズアドバイザー制度の創設(2003~)。クルーズオブザイヤー表彰(2008~)
ディスカッション
■国への希望、関係団体間の連携など
・おもてなし行事は重要だが、他の港と内容が重なる恐れがある。各港間での情報共有が必要。(鎌田氏)
・クルーズ振興協議会活動により、港湾と観光地間の連携ができるようになった。(前川氏)
・瀬戸内海のように広域についての活動は、地区をまたいだ連携が必要。(山口氏)
・中国は造船、人材育成を含めて、国を挙げてクルーズ振興を推進しているが、日本は船社、港湾、旅行会社の活動に止まっている。(山口氏)
・バスの手配には限界がある。貸切バスに頼らない観光の環境づくりが重要。(林氏)
・貸切バスの営業エリア制限の緩和が必要。(鎌田氏)
・船社キーパーソンの来日招請について、船社側の反応が悪くなっている。依頼数増加が原因の可能性がある。(山本氏)

■フライ&クルーズの可能性
・世界マーケットをターゲットにしたフライ&クルーズ推進の段階に入った。外国から飛行機で来日してクルーズ船に乗船してもらう。(池田氏)
・アジアはヨーロッパに比べて、チャターエアーの市場が小さい問題点がある。(林氏)
・エアーのキャパシティ確保が重要。(山口氏)

■日本人クルーズ客増加施策
・「飛んで北海道~」は北海道までの航空運賃を含んだ総額を念頭にクルーズ料金を決定した。(山口氏)
・ワンナイトクルーズの利用者をリピーターにする工夫が必要。(山口氏)
国際フェリーセッション 基調講演
「パンスターフェリーの歴史と未来」 パンスターライン会長 金泫鎌
■現在のパンスターグループ
(旅客輸送)
・クルーズフェリー パンスタードリームの運行(2002~) 大阪~釜山 3往復/週
・2004/12から釜山発着週末クルーズ実施。週末クルーズの売上比率が上昇中。
・クルーズレベルの施設とサービスの提供。客室の高級化、パブリックススペースの充実、食事・エンタテイメントの強化
(貨物輸送)
・クルーズフェリー1隻(パンスタードリーム)、貨物船(Ro-Ro,Con-Ro)4隻運行。
・飛行機より早いデリバリーを目指す。日本通関免許、日本鉄道輸送免許(JR)を取得して、輸出入手続きの時間短縮。
(クルーズ客船事業)
・コスタクルーズのPSA(韓国総販売業者)として、クルーズ商品の販売、運営を実施。
・コスタクルーズ客船のチャータークルーズの実施。

■パンスターグループが描くクルーズの未来
・フェリー事業の領域拡大(韓国、北朝鮮、日本、中国、ロシア)
・平和と交流の媒体としての役割。南北の和解と平和に貢献が目標。日韓関係の改善に貢献が目標。
・運航船の高度化(パンスタードリーム→Upgraded Cruise Ferry→正統クルーズ船)
国際フェリーセッション
パネルディスカッション:「日本発着の国際フェリーの未来」
司会 池田良穂(大阪経済法科大学)

野瀬和宏(サンスターライン)
増田聡(関釜フェリー)
村上光一(日中国際フェリー)
各社の状況
(サンスターライン)パンスターラインの日本法人
・旅客を運ぶことにより、岸壁の優先利用権が得られるメリットがある。
・乗船客は韓国人中心だったが(韓国人8:日本人2)、今年は韓国人急減、日本人増減なし。
・学生市場の掘り起こし活動実施。ゼミ旅行での利用促進、学内イベントへの協賛、SNS発信。

(関釜フェリー)
・1970年6月就航で、来年が就航50周年。釜関フェリーと共同運航で毎日1往復運航。
・海(コンテナ)より早く、空(エアカーゴ)より安く、をアピールしている。
・日韓ダブルナンバートレーラーによる自動車部品輸送を実施。運行可能地区の拡大を要望中。
・日本・韓国とも乗用車、バイクでの渡航が可能(1年間)。

(日中国際フェリー)
・1985年就航。大阪/神戸~上海を毎週1往復運航。
・LCCの影響で旅客減少。生産拠点が中国から東南アジアへ移って、中国発の貨物減少。
・上海で開催される「鑑真和上と唐招提寺東山魁夷作品展」の作品輸送を担当。
ディスカッション
■旅客増大の施策
・ヨーロッパでは料金を下げて、免税品の販売など船内で消費金額をあげている。(池田氏)
・日本人を沢山乗船させたい。船の高度化、サービスの高級化を実施。料金を安くする。学生にアピール(野瀬氏)
・ビールの免税が様々な理由でできていない。下関、釜山ともに港周辺に飲食店が多いので食べてから乗船する人が多い(増田氏)
・日本人が多ければ(日本人8:韓国人2)高級化したいが、現状では高級化による効果は期待薄(増田氏)
・中国航路は航路が長く、時期によってはLCCが安い。LCCに対抗できない(村上)
・免税店はあるが機能していないのが現状。中国人客(8割)の動向を調査して改善を検討中(村上)

■自家用車やバイクを運送
・自家用車やバイクで旅行したい人が増えるのではないか(池田氏)
・韓国から自家用車を持ち込む人は多いが、事故率が高い。車線の違いの影響大きい(増田氏)
・韓国ではバイクで高速道路を走れないので、バイクで日本の高速道路を走りたい人は多い(増田氏)
・日本のナンバーのままでも1年間韓国で走れる(増田氏)

■国や各団体への要望
・クルーズ振興協議会はクルーズ客船のみが対象、外航フェリーや内航フェリーを含めた活動にすべき(野瀬氏)
・トラックの相互乗り入れ(日、中、韓)がまったく進んでいない。ヘッドがだめならシャシーだけでも進めたい(増田氏)
・トラックの相互乗り入れは客先からの要望が強い。食料の輸送増加に期待できる(村上氏)
・自治体はLCCに対して各種支援(補助金、駐車料金など)を行っているが、フェリーには出しておらず不公平(増田氏)
・国内道路の高さ制限緩和が必要。コンテナの高さは欧米準拠なのに、シャシーの高さ制限が従来のまま(名門大洋フェリー)

■新造船、LNG炊船の可能性
・LNG船は世界の潮流(池田氏)
・新造船を検討中。LNG船はLNGの供給体制や消防法など解決すべき壁は多い(野瀬氏)
・LNG船はエンジンコストが高い、直ぐは無理(増田氏)
・新造船を計画しているが、船価が高く躊躇している(村上氏)
離島航路セッション
パネルディスカッション:「アイランドポッピング旅行による離島航路の活性化」
司会 梅田直哉(大阪大学)

利尻・礼文航路 蔦井孝典(ハートランドフェリー)
奄美・沖縄諸島 岩男直哉(マリックスライン) 有村忠洋(名瀬港運)
池田良穂(大阪経済法科大学)
各航路の現状
■利尻・礼文(ハートランドフェリー)
●利尻島
・利用客が減少(2009年63万人→2018年46万人)。日本人は減少、外国人は増加。
・従来はほとんど日帰り観光者だったが、宿泊客が増えてきた。
・島でスポーツを楽しむ客が増えた。バックカントリースキー400~500人/年、利尻山登山8000人/年。シーカヤック、サイクリング、サーフィン等。
・きたきつねや野鳥を見に来る客も増えた。
●礼文島
・日本人は減少、外国人は増加。外国人客をさらに増やしたい。従来冬は観光客が来なかったが、欧米人は夏も冬も来ている。
・縄文時代の遺跡発掘作業(大学の単位が取得できる)の外国人が多数上陸。
・島内バス乗り放題や帰りのフェリー運賃無料キャンペーンを実施して誘客している。

■奄美・沖縄諸島
(マリックスライン)
・売上比率は貨物8割、旅客2割。LCCの影響が大きく、運賃で勝ち目なし。
・新造船を検討中。個室化を推進するが、大部屋の需要にも対応。
(名瀬港運)
・2018年度の奄美諸島への観光客数は過去最高。空路の客の増加が要因。
・人口は減っているが、交通の便は増えて料金は下がっている。
・奄美大島まで飛行機で来て、船で離島へ渡る旅客が多い。奄美大島は奄美諸島へのハブ港になれる。
・飛行機と船を組合わせた旅行の提案が必要。

■瀬戸内海(池田氏)
●高速船を使ったデイクルーズ
・海からの視点には魅力がある。しかし綺麗な景色も飽きる。イベントも必要。
・一般的なガイドの説明には魅力がない。専門的な講師の説明が必要。
・一定規模の人数が、宿泊、食事ができる場所が、離島にはない。
・高速船は、景色が良い場所はゆっくりと、景色が単調な場所は速度を上げて柔軟に走らせられるのが利点。
ディスカッション
■アイランドポッピング旅行の可能性
・アイランドポッピングクルーズは奄美のシーズンオフの定番になりつつある(池田氏)
・飛行機のみを利用したアイランドポッピングツアーも競争相手(岩男氏)
・欠航のリスクは常にある。船舶の欠航・抜港による追加宿泊費を補填する制度もある(岩男氏)

■外国人向けアイランドポッピング旅行の可能性
・台湾でプレゼンしたけれど、興味を示されなかった(岩男氏)
・海外からでもスマホで予約できるよう、予約システムを改善した(蔦井氏)
・島の宿の経営者に対して外国人観光客誘致の必要性を口説いて回った(蔦井氏)


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