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ふなむしのひとりごと(2019)


■ホランドアメリカライン客船の船首の旗(10/8)

船には色んな旗が掲揚されていますが、この項は船首に掲揚されている旗についてです。客船の場合、船首にはその船を運航する会社の旗が掲揚されていますが、ホランドアメリカラインの客船は、オランダの国旗を掲揚しています。何故、何でしょう。調べてみました。

MAASDAM(Holland America Line)の船首旗

飛鳥Ⅱの船首旗

船首に掲げる旗は、船首旗(Jack:ジャック)と呼ばれ、掲揚するためのポールはジャックスタッフと呼ばれています。一方、船尾に掲げる旗には「船尾旗」という名前はなく、軍艦では軍艦旗(Ensign:エンサイン)、商船では商船旗(国籍旗)と呼ばれています。

船尾の旗については、日本では船舶法および船舶法施行細則により、国旗を船尾に掲揚すべきことが規定されています。一方、船首の旗は規定がないようです。

●軍艦
英海軍では、艦首に国旗(Union Jack)、船尾にホワイト・エンサイン(海軍旗)を掲揚します。

英海軍の旗については、歴史的経緯があり
「元々、艦船の所属を示す旗は、船尾に掲揚するエンサイン(商船旗・軍艦旗)によって行われていた。17世紀にスコットランド王ジェームズ6世がイングランド王をも兼ねた際に、船首には共通のユニオン・フラッグを掲揚することとなった。しかし、スコットランド王国とイングランド王国は別国家であったため、船尾にはそれぞれの所属国・機関を示す旗が掲揚されるようになった」(wikipedia)

米海軍の船首旗は何度も変更されていて、今年6月(2019/6)からは青地に★50個のUnion Jack(星条旗の星の部分のみ)が掲揚されています。米海軍には軍艦旗が存在せず、艦尾は星条旗です。

日本の自衛隊では、艦首には国旗、艦尾には自衛隊旗(旭日旗)が掲揚されています。

英国の客船は船尾にレッド・エンサイン(商船旗)を掲揚しますが、船長が軍人(含む退役)の場合はブルー・エンサインを掲揚している事があります。

Queen Victoria(Cunard Line)の
レッド・エンサイン

●ホランドアメリカラインの客船
インターネットで調べたら、ホランドアメリカラインのキャプテンのブログに答えが見つかりました。要約すると、以下の通りです。

オランダの船の船首には、Geusjeと呼ばれる小さなオランダの国旗があります。船首の旗は、英語ではJackと呼びますが、オランダ語ではGeusje(グーゼン)です。Geusjeは16世紀の八十年戦争でスペインから独立を勝ち取った際のオランダの自由戦士の名前に由来します。この当時、オランダは正規の海軍は持っておらず、民間の帆船を利用していました。その後Royal Navyが創設されましたが、旗の掲揚規定は当時のまま継承されています。

英国やオランダなどヨーロッパの国々は海事の歴史が長いので、今では当たり前となっている船に関する決まり事の中には、これらの国に関わる謂れがあるかもしれません。


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