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兵庫津 街歩きツアー
(2024/9/21)

兵庫津(ひょうごのつ)を巡る街歩きツアー(主催:まいまい京都)に参加しました。

【ツアー名】(兵庫津)造船所連なる海運の要衝へ!御崎ビル&巨大冷蔵倉庫へ特別潜入
【副題】~産業遺産探検家といく、日本最大級の兵庫運河から船舶ドッグまで~

※ガイドさんの案内で街を巡りましたが、聞き間違い、記憶間違い、で以下の記述内容に誤りがあるかもしれません。悪しからず。

①イオンモール神戸南

このツアーの集合場所は地下鉄海岸線の中央市場前駅です。駅から地上に出るとイオンモール神戸南の玄関です。
イオンモール神戸南は2017年に開業しました。元は神戸市中央卸売市場の本場西側部分で現在も神戸市中央卸売市場として稼働している東側部分と一体となって卸売市場として使われていました。

イオンモールがある周辺は、奈良時代(8世紀)から大輪田泊(おおわだのとまり)と呼ばれ、瀬戸内舟運の東端の要衝として発展してきました。大輪田泊の重要性を認め大規模な港湾整備を行ったのが平清盛です。

鎌倉時代(12世紀末)以降は兵庫津と呼ばれ、室町時代には勘合貿易の国際港、江戸時代には北海道、東北の日本海沿岸と近畿を結ぶ北前船の発着港として発展してきました。

安土桃山時代(16世紀)にはこの地に兵庫城が築城され城下町が整備されましたが、城として機能していたのは戦国時代の短期間で、明治以降の港の大規模な改修や都市化により兵庫城跡は無くなってしまいました。

イオンモール神戸南建設のための汚染土壌除去作業中に石垣や馬出跡、堀跡が発見され、2014年2月から2015年3月までの発掘調査が実施されました。兵庫城の天守台跡とみられる遺構から石垣が発掘されました。

平清盛のまち(イオンモールの玄関) 兵庫城の石垣

②卸売市場の冷蔵倉庫(神戸中央冷蔵)

イオンモールの南側に神戸中央冷蔵の冷蔵倉庫があります。神戸市中央卸売市場の生鮮食料品のための冷蔵倉庫ですが、古い倉庫で近々に解体されて移転予定です。
冷蔵庫の中に入って-25℃を体感しました。そこは魚介類などの保管エリアです。野菜や果物用のエリアは+3℃でした。匂い移りを防ぐため野菜と果物用のエリアは分かれています。

冷蔵倉庫

③兵庫津ミュージアム・ひょうごはじまり館

兵庫県立兵庫津ミュージアムは「ひょうごはじまり館」と「初代県庁館」から構成されています。「ひょうごはじまり館」で館長の説明を聞きました。時間の関係で館内見学はできませんでしたが、ツアー参加者には無料入場券が配布されたので後日「ひょうごはじまり館」と「初代県庁館」を見学しました。

「ひょうごはじまり館」は歴史のストーリーや面白さをわかりやすく伝える博物館です。兵庫津の発展の歴史や明治維新に発生した神戸事件などについて解説されています。
玄関の床には神戸事件発生時(1868年)の兵庫津を上空から見た鳥瞰図が描かれています。鳥瞰図には、お寺の境内で幕府関係の文書が焼却されていたり、街中を備前藩の行列(神戸事件の当事者)が進んでいる様子が描かれています。

ひょうごはじまり館 古の港都 兵庫津鳥瞰図1868

④兵庫津ミュージアム・初代兵庫県庁

兵庫県誕生(慶応4年5月)時の県庁を復元した施設です。当時の知事執務室を含む県庁舎、旧同心屋敷などが再現されています。
兵庫県の初代知事は神戸事件の解決に奔走した長州出身の伊藤俊介で、後に伊藤博文と改名して初代内閣総理大臣になりました。
施設内では伊藤博文や幕府最後の兵庫奉行・柴田剛中と出会えるバーチャルツアーに参加できます。

初代兵庫県庁 県庁舎と庭園

⑤兵庫臨港線跡

兵庫臨港線は現JR兵庫駅と神戸市場駅、兵庫港駅を結ぶ国鉄山陽本線の貨物支線です。1911年に部分開通、1933年に全線開通し、1984年に全線廃止されています。

兵庫臨港線の線路跡

⑥新川橋、防潮堤水族園

兵庫運河は、兵庫運河・兵庫運河支線・新川運河・苅藻島運河・新湊川運河の総称です。新川橋は2013年に架け替えられた新川運河に架かる橋です。

新川橋

新川橋から西側を見る

運河に沿った堤防には魚の絵が書かれたパネルが並んでいて防潮堤水族園と呼ばれています。防潮堤水族園の西端にある上野紙料の倉庫の壁には大きな魚が描かれています。この会社は梱包用用紙を生産する会社です。

防潮堤水族園 紙料会社の倉庫

⑦御崎ビル

手の込んだお洒落な建物ですが歴史的な価値はないみたいです。

御崎ビル

階段に美しいステンドグラスが嵌められています。

ビル内の階段

御崎ビルの横にはJR和田岬線が走っています。朝と夕方のみ通勤用の電車が通ります。近くにはヴィッセル神戸が本拠地とするサッカー場(ノエビア・スタジアム)が見えます。

御崎ビルの屋上から
左:和田岬駅方面、右:兵庫駅方面

⑧薬仙寺

薬仙寺は奈良時代に建立され神戸で一番古いお寺とのこと。神戸は昭和20年(1945年)3月17日、6月5日の大空襲で大きな被害があり、約7,500名の犠牲者が出たと言われています。3月17日の空襲ではこの付近に集中投下され壊滅的な被害を受けました。薬仙寺には神戸大空襲犠牲者慰霊碑があり毎年3月17日に慰霊祭が行われています。薬仙寺には福原地区空襲被災者供養塔もあります。福原には大遊郭があり、遊郭で働く娼妓達の多くも神戸大空襲で犠牲になっています。

薬仙寺

⑨大輪田橋

大輪田橋は大正13年(1924年)に架けられた3連アーチの美しい橋です。昭和20年3月17日の大空襲ではこの橋の下に避難してきた多くの人を焼夷弾の炎が襲ったとのこと。

大輪田橋 大輪田(築島)水門

大輪田橋の親柱にはたくさんのカタツムリが這っています。このカタツムリは環境造形Qの小林陸一郎氏の作で、環境造形Qはポートアイランドの「かたつむりの広場」を制作しています。


⑩清盛塚

『平家物語』では平清盛の遺体は大輪田泊の経ヶ島に葬られたとされています。この清盛塚が平清盛の墓と思われていましたが、大正時代の調査で墳墓でないことが確認されています。

清盛塚と清盛像

⑪兵庫運河(新川運河)・イオンモール西側

イオンモール西側の運河河畔からは、このツアーの最初に訪れた冷蔵倉庫を別角度から見られます。

神戸中央冷蔵の冷蔵倉庫 右奥は大輪田水門

2年前くらい前兵庫運河でエイが泳ぐ目撃情報が相次ぎ、ニュースでも取り上げられていました。今でもボラやエイが見られるとのことでしたがこの日は魚影はありませんでした。
イオンモールの桟橋ではボートの操船体験やペダルボートのボート遊びが可能です。

運河の河畔に兵庫城跡の碑があります。

イオンモール神戸南の桟橋 兵庫城跡の碑

運河の西側に古い公団住宅(現UR)が建っています。1957年の建造とのこと。

UR切戸町団地

⑫西国街道・札場の辻跡

西国街道は京都と下関を結ぶ江戸時代の街道の一つです。西国街道が直角に曲がる南仲町の十字路は、幕府の布達等の掲示場所があったことから「札場の辻」と呼ばれていました。

札場の辻跡 道標
左:築(築島?)、右:和田

⑬岡方倶楽部

岡方倶楽部は兵庫商人の社交場でとして昭和2年に建造されました。江戸時代にあった岡方惣会所の跡地です。
現在ここに神戸市歴史公文書館の建設計画があり、その一部としてこの建物も活用される予定です。

岡方倶楽部

⑭古いレンガ倉庫

「塗料の総合商社」と書かれた井原塗料の古いレンガ倉庫があります。会社創業は1950年なのでこの倉庫はその前から建っているのかもしれません。

レンガ倉庫

⑮造船所

神戸港の造船所と言えば川崎重工と三菱重工が有名ですが、神戸港兵庫突堤の北側には船の修繕や点検を主に請け負う小規模の造船所があります。

兵庫突堤北側の造船所

(鹿瀬造船)

造船所の一つ鹿瀬造船を見学しました。
鹿瀬造船は昭和20年9月に創立し、小型業務艇、監視艇、巡視艇、水先艇などの小型船の修理、整備、管理を主業務としています。


浮きドック内に入って内部を見学することができました。浮きドックは長さ40m、幅11m、揚力350トンです。

浮きドック内部

(新神戸ドック)

新神戸ドックの浮きドックは長さ80m、外幅24m、内幅18m、入渠能力999G/Tで少し大型です。他にクレーン台船も所有しています。

浮きドック 点検中の船

浮きドック

(川崎重工浮きドック)

東側には川崎重工の浮きドックがあって潜水艦の建造と点検を実施しています。日本の造船所の中でも潜水艦を建造しているのは川崎重工と三菱重工の各々神戸工場だけです。

川崎重工
No.3浮きドック
川崎重工
左:No.3浮きドック、右:No.2浮きドック

⑯加藤海運旧本社ビル

加藤海運は明治10年に高松で創業した海運会社です。昭和3年に現会社となり神戸に本社を置いています。昭和24年に阪神高松旅客定期事業を分離して加藤汽船を設立しました。
旧本社ビルの中は綺麗に保存されていて、映画のロケに度々使用されています。屋上にはライトがあって、かつては船との連絡用に使用していたらしいです。

加藤海運旧本社ビル

⑰石川本社ビル

神戸市道高松線沿いに赤レンガの綺麗な建物があります。包装資材と食品流通の石川株式会社の現役本社ビルです。明治38年(1905年)に三菱倉庫の前身、東京倉庫兵庫出張所として建てられました。東京・丸の内の「れんが建築群」や旧三菱銀行神戸支店を手がけた曾禰達蔵氏の設計です。外観の赤レンガは英国から輸入されたレンガが使用されています。
石川株式会社が昭和10年代にこの建物を購入し、昭和20年から本店として使用しています。

石川本社ビル

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