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きそ(太平洋フェリー) 総トン数:15,795トン 全長:199.9m、幅27.0m 就航:2005年1月 |
きそ乗船記(1) 航海編
きそ乗船記(2) 船内編
太平洋フェリーきそに乗船して苫小牧西~仙台~名古屋の39時間30分の船旅を楽しんで来ました。きそは2005年1月就航なので船齢は18年9ヶ月です。フェリーとしてはベテランの領域にある船です。
就航時にはフェリー・オブ・ザ・イヤーを受賞した名船ですが、18年間に船内はどう変わったのか? 最近就航した他社の新造船と比べて勝っているのか? 劣っているのか?に興味が湧きました。
本船「きそ」は2代目で「初代きそ」の代替として2005年1月に就航しました。2005年の第14回から2010年の第19回までフェリー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。
客室が5デッキ~7デッキの3層あり船の前方に客室が並びます。最もグレードの高いロイヤル・スイートは国内フェリーでは最大級の広さを誇ります。特等以上はバスタブ、トイレ付、1等はシャワー、トイレ付です。船室のカテゴリーに「特等、1等、2等」を使用するのは今では少数派です。ロイヤル・スイートを含め専用ベランダ付きの船室が無いのも今風ではありません。
旅客定員は768名、乗用車113台、トラック174台を運べます。
「初代きそ」(1987年)は振動が酷い船でした。「2代目いしかり」(1991年)が振動が少ないV型エンジンを採用したのに本船「2代目きそ」(2005年)は直列エンジンに戻ってしまいました。「3代目いしかり」(2011年)はまたV型エンジンになったので一貫性がありません。現行運航されている船では、本船「2代目きそ」は「3代目いしかり」と比べて振動が大きい様に感じます。
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「きそ」の概要 |
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5デッキ |
「きそ」のエントランスは5デッキです。乗船すると華やかな光壁が目に入ります。光壁をよく見ると船名やラウンジの名前等が書かれているのが分かります。
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光壁 |
エントランスホールは広く、テーブルや椅子も多く設置されています。
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エントランスホール |
インフォメーションの奥には柳原良平さんのイラストが飾られています。柳原良平さんは太平洋フェリーの名誉船長で船内では多くの作品を目にすることができます。
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インフォメーション | 柳原良平さんのイラスト |
記念撮影用の船長帽と制服の横には柳原良平さんのイラストと恐竜研究家ヒサクニヒコさんが壁に描いた落書きがあります。
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恐竜研究家ヒサクニヒコさんの落書き | 柳原良平さんのイラスト |
「きそ」は新船長シリーズ、検事霞夕子などのTVドラマの撮影で何度も使われています。ドラマの出演者や製作者の色紙が沢山飾られています。荒川静香さんや阿木燿子さんの色紙もありました。
今回の旅行を計画していた7月にBS放送で「検事霞夕子スペシャル」を見ました。その時の出演者と乗組員の記念写真も飾られています。
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検事霞夕子スペシャル出演者と乗組員 真矢みきさん(主演)の色紙 |
柳原良平さんのイラスト |
私の船室にはバスタブが付いているのですが大浴場も利用しました。大浴場は広くて気持ちいいです。寝そべって浸かれるジャクジーが特に良いです。残念ながらサウナは休止しています。大浴場の前には立派な休憩スペースがあります。
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休憩スペース | 展望大浴場 |
新型コロナで閉まっていたキッズルームやカラオケスタジオ(有料)もオープンしています。
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キッズルーム | カラオケスタジオ |
6デッキの60%以上が広いパブリックスペースで占められています。
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6デッキ |
苫小牧で乗船するとピアノの演奏で出迎えてくれました。昼間の航海中にピアノコンサートが開催される場合もあります。
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乗船歓迎のピアノ演奏 | 昼間のピアノステージ |
「きそ」の船内には沢山のオブジェが置かれています。
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夜のピアノステージ | 船内のオブジェ |
マーメイドクラブでは軽食と飲み物が注文できます。オープン時間は限定しているので要注意。
朝食はチキン朝カレーセット(650円)、モーニングセット(650円)等、人気の名古屋コーチンたまごかけご飯は今航海では無かったみたいです。
飲み物はホットコーヒー、ソフトドリンク、ビール、ワイン、日本酒、焼酎などが注文できます。
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マーメイドクラブ・バー | マーメイドクラブ |
窓際には飲食スペースがあります。
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マーメイドクラブ飲食スペース | プレミアムソフトクリーム、ホットコーヒー |
左舷船尾にあります。その先にはレストランがあるのでレストラン営業中は人通りが多いので落ち着けません。それ以外の時間帯は静かで良い場所です。
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プロムナード |
ボラボラはピアノステージの対面の右舷側にあります。ドリンクハット ボラボラの名前ですが飲み物のサービスはありません。
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ボラボラ |
ボラボラには生ビールのサーバーらしき物を備えたカウンターブースが有ります。計画段階ではここで飲み物サービスをする予定があったのかもしれませんが、就航間もない時に乗船した際にも営業していませんでした。
今は電子レンジと給湯器が自由に利用できるだけになっています。勿体ない。クルーズ船のロボットバーテンダーとは言わないまでも高機能の自動販売機(サーバー)を置いて飲み物のサービスができればお洒落かも。
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ボラボラのカウンターブース |
ボラボラと後方のマルルーの間に喫煙コーナーがあります。天井の作りを見ると就航時には無く、後から設置した感じです。「きそ」が就航した2005年以降に喫煙に対する規制が厳しくなりフェリー内での禁煙化が進みました。
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後ろは喫煙室 |
「きそ」のオブジェや壁掛け等は今も綺麗な状態です。 就航後18年の年月の間に汚れにより床は張替で補修しているものと思いますが、オブジェ類はどうメインテナンスしていたのでしょうか? 壊れた物もあるかもしれないし、経年による退色もあったことでしょう。
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壁に柳原良平さんの落書きがあります。日付は2005/1/7です。アクリル板で保護されています。
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柳原良平さんの落書き |
ボラボラの後方にマルルーがあります。OAコーナーなので窓際の席は飲食禁止です。ここは行き止まりで落ち着けるので利用者が多く長居する人も多いです。
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OAコーナー マルルー |
大きなラウンジがあって夜にはショーを開いてくれのが太平洋フェリーの魅力です。「きそ」は6デッキのど真ん中に「サザンクロス」があります。「いしかり」は船尾にラウンジがあり「きそ」とは配置が異なります。
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サザンクロスの入口 本日の演目 |
新型コロナの最中はラウンジショーを休止していましたが、今年5月から復活しました。10月現在では一部の日を除きほぼ毎日開催されています。
この航海はトリオ・デ・ジャネイロによるドラム・ベース・ピアノの演奏で、ジャズを中心に幅広いジャンルの演奏がありました。アーティストは名古屋~苫小牧~名古屋を乗船し、名古屋で交代するケースが多い様です。
ラウンジショーの開催は「きそ」と「いしかり」のみで、最新の「きたかみ」では実施していません。「きそ」の後継船ではどうなるのでしょうか?
サザンクロスではラウンジショーの後や昼間は映画を上映しています。
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トリオ・デ・ジャネイロの演奏 | ラウンジ サザンクロス |
タヒチは三方に窓がある広くで明るいレストランです。フェリーとしては素晴らしいレストランだと思います。太平洋フェリーの食事は、朝・昼・夕すべてバイキングスタイルです。2代目いしかり(1991年)の就航時はカフェテリア方式で途中からバイキング方式に変わったと記憶して思います。現きそ(2005年)は就航時からバイキング方式だったので、料理が並ぶテーブルは補充がし易い配置になっています。
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タヒチの入口 |
中央の大きな丸テーブルの上は明かり取りになっていてデッキから自然光が入ります。
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中央の席 |
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かじきマグロの壁掛け(右舷) | 中央の席(左舷から右舷を見る) |
以前は各テーブルにテーブルクロスが掛けられていましたが、今はテーブルクロスが掛かっていません。
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中央の席(右舷から左舷を見る) | かじきマグロの壁掛け(左舷) |
右舷側の席は混雑状況に合わせ一部を閉鎖して調整していました。デッキプランでは船首よりの区画とその隣の部屋を合わせてローズルームと表記されています。ローズルームは団体の小パーティーにも使用できるものと思います。
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右舷側の席 | ローズルーム |
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左舷側の席 |
太平洋のフェリーは早くからバイキング方式の料理を提供し非常に評判が良かったのですが、最近は評価が低くなってきました。ネットの評価を見ていると、沢山食べる若年層からはそれなりの評価が得られていますが、過去の太平洋フェリーの料理を知っていたり、他社のフェリーにも多く乗っている熟年層からの評価が低い様に思います。
太平洋フェリーのバイキングと言えば「ステーキ(牛)」という時代がありました。その後ステーキ→牛脂注入ステーキ→ローストビーフ→ローストポークに変わって行きました。
サラダが特に残念。夕食はキャベツとブロッコリーだけ、朝食はキャベツのみ。サラダの定番のトマトやきゅうりは無く、レタスはキャベツの間に微かに見え隠れする程度です。
瀬戸内海を運航するあるフェリー会社の人は「バイキングは赤字」と言い切っていました。バイキングの食事に満足して貰い次回の乗船に繋がれば良いとの考えとのこと。食材費の高騰も痛いが一番の問題は人件費とのこと。外国人スタッフやパートさんを使えないフェリーは人件費削減が簡単ではない様です。
10月11日夕食メニュー いわしの生姜煮 みそかつ カリっと揚げたたこ焼き トマトチキンビーンズ 知多三元豚のローストポーク シューストポテト バーベキューチキン しいたけ海老詰めフライ ベトコンヘッド・肉焼売・手作り豆腐 カツオのたたき カルパッチョ 海老天まぶしご飯 おかざき風カレー・ころきしめん ご飯・味噌汁・サラダ・フルーツ・アイス |
10月12日夕食メニュー ひとくちアジフライ 手羽先風スティックチキン 揚げ茄子の甘辛煮 塩焼きそば 知多三元豚のローストポーク シューストポテト プルコギ・名古屋風土手煮 肉詰めピーマンフライ 豆腐焼売・手作り豆腐 カツオのたたき カルパッチョ 海老天まぶしご飯 おかざき風カレー・ころきしめん ご飯・味噌汁・サラダ・フルーツ・アイス |
※青字:2日間で共通のメニュー |
夕食バイキングは2100円です。
メニュー数は少なくはないとは思います。しかし2日間共通のメニューもあるので、苫小牧~名古屋に乗船する人にとってはメニューが少なく感じるかもしれません。
今航海では「あいちの味覚」フェアとして、みそかつやベトコンヘッド等の愛知県のご当地メニューが何品かあり特徴を出そうとしていました。その一つ「おかざき風カレー」とは何なんだろうと質問してみたらルーの中に八丁味噌が入っているとのこと。岡崎市に30年間住んでいましたが知りませんでした。
「きそ」の前に乗船(2月)したフェリーが「さんふらわあくれない」だったので、そのバイキングと比べるとメニューのレベルは落ちます。しかし私の様に美食家でも無く、レストランに長居して飲み物を何度もお替りし、ケーキやアイスまでしっかり食べる人間には充分満足できる内容でした。
「きそ」はまだ苫小牧港に着岸中ですが既に主機エンジンは稼働していてトライアル中みたいです。けっこうな振動がレストランに伝わってきてグラスの飲み物が揺れています。
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いわしの生姜煮、みそかつ | カリっと揚げたたこ焼き、トマトチキンビーンズ |
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知多三元豚のローストポーク | シューストポテト |
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バーベキューチキン | ベトコンヘッド |
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しいたけ海老詰めフライ、肉焼売 | 手作り豆腐 |
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カツオのたたき カルパッチョ、サラダ | 海老天まぶしご飯 |
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フルーツ | プチケーキ、わらび餅 |
10月11日と同じメニューは写真を掲載していません。
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ひとくちアジフライ、手羽先風スティックチキン | 揚げ茄子の甘辛煮 |
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塩焼きそば | プルコギ |
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名古屋風土手煮 | 肉詰めピーマンフライ |
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豆腐焼売 | 10月12日の夕食 |
10月12日朝食メニュー ししゃも塩焼き コーンとベーコンのオーブン焼き 一口さつま揚げ 豆腐磯辺揚げ ボイルドウインナー かにかま玉子ボール 蕗とがんもの炊き合わせ オクラの胡麻和え 野菜カレー お粥・ご飯・味噌汁 サラダ・パン 納豆・生卵・ふりかけ・味付け海苔 フルーツ・ヨーグルト |
10月13日朝食メニュー ししゃも塩焼き 小松菜とベーコンのオーブン焼き 笹かまぼこ 豆腐磯辺揚げ ボイルドウインナー ベーコンオムレツ 野菜と昆布の和え物 根菜のマリネ 野菜カレー お粥・ご飯・味噌汁 サラダ・パン 納豆・生卵・ふりかけ・味付け海苔 フルーツ・ヨーグルト |
※青字:2日間で共通のメニュー |
朝食バイキングは1100円です。レストランの入口で先頭に並んでいた常連と思われる人達は料金の高さを口にしていました。
朝食のメニューはワンパターンでもOKですが、サラダの品揃いの悪さが致命的です。それでもししゃもを一杯食べたので元は取れたと思います。
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ししゃも塩焼き、コーンとベーコンのオーブン焼き | 一口さつま揚げ |
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豆腐磯辺揚げ | ボイルドウインナー |
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かにかま玉子ボール、蕗とがんもの炊き合わせ | サラダ |
10月12日、13日ともに窓際の席でゆったり朝食を頂くことができました。
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10月12日の朝食 | 10月13日の朝食 |
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10月12日の朝食 金華山沖を航行中 |
今回は早割で特等を利用しました。苫小牧~名古屋(A期間) 通常運賃(28,200円)→早割運賃(16,900円)です。A期間は個室1人利用の貸切料金は不要です。
WEB予約で船室も指定できるので陸地側の右舷船室を選びました。前後位置は、船首は揺れやすいし、ラウンジに近い方は騒がしいかもしれないし、を考慮して程ほどの場所の船室(618号室)を選びました。
粉末のお茶セットが用意されています。湯沸かしポットではなくIH式の湯沸かし器です。
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特等洋室 |
窓付きなので航海中の長い時間、ネットが繋がりました。窓は塩で汚れてクリアではありませんでした。
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船窓 | ベッドサイドデスク |
バスタブ、トイレ付きです。トイレは温水洗浄機能付きです。
就航間もない時にも特等を使いました。浴槽の水垂れ防止用のガイドに見覚えがあります。シャワーを使ったらバスタブの縁からお湯が垂れて床がびしょ濡れになった記憶があります。今回も同様にびしょ濡れになりました。
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浴室 | 水垂れ防止のガイド |
「シャワー使用中にトイレを排水するとお湯が高温になる」の注意書きもありました。設備の古さがあります。
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装飾がある蛇口のノブ |
船室前の通路の壁には鳥の絵が書かれています。6デッキは赤い鳥ですが7デッキは黒っぽい鳥です。6デッキの照明は赤っぽいですが7デッキは白色です。
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6デッキの通路 | 7デッキの通路 |
7デッキは客室のみでパブリックスペースはありません。
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7デッキ |
「きそ」は船齢18年で私の乗船も18年振りです。船内の経年劣化を心配しながら乗船しましたが、その心配は杞憂に終わりました。船内は綺麗で傷んでいる箇所も見られません。船室の水回りに年季を感じる程度です。
今年2月に「さんふらわあくれない」に乗船して素晴らしいフェリーが就航したものだと感動しましたが、居心地の良さでは「きそ」は今もその上を行くレベルです。40時間を航海する「きそ」とワンナイトの瀬戸内海のフェリーではカテゴリーが異なるのかもしれません。「きそ」が18年を経過しても快適さを維持できているのはコンセプトが良く、物作りがしっかりしている証でしょう。裏を返せば建造費が高く、維持費も高い事を意味しているのかもしれません。
「きそ」は数年後には代替船の計画が具体化することでしょう。代替船はどんな船になるのでしょうか? 最新の「きたかみ」から察すると、もう「きそ」や「いしかり」の様な素晴らしい設備の船は建造されない様な気がします。そしてレストランはどうなるのでしょうか? トラック主体になって乗船客が少なくなればバイキングを止める選択肢もあるのかもしれません。
きそ乗船記(1) 航海編
きそ乗船記(2) 船内編