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おれんじおおさか
ワンナイトクルーズ
(2020/7/4~5)

おれんじおおさか(オレンジフェリー)
総トン数14,759トン
全長199.94m 幅27.5m
2018年12月就航

「おれんじ おおさか」のワンナイトクルーズに乗船しました。日本クルーズ&フェリー学会の「ポストコロナにおける安全なクルーズの在り方の検証」の一環で実施された企画です。

6月末から7月初旬にかけて僚船の「おれんじ えひめ」が定期検査のためドック入りしていて、「おれんじ おおさか」1隻のみで東予(22:00発)→大阪(06:00着)を片道運航しています。朝、大阪港に入港した「おれんじ おおさか」は、乗船客を乗せずに大阪→東予を回航航行しています。

今回の企画は、往きは昼航の回航便(大阪(10:00発)→東予(18:00着))に乗船し、東予港では下船せず、帰りは夜航の定期便(東予(22:00発)→大阪(06:00着))に連続乗船する日程です。

「おれんじ8」が就航していた頃には昼間にも定期便が運航されていて、今回と同様の日程で「ワンナイトクルーズ」が実施されていました。私も何度か乗船した経験があります。今回の企画は「おれんじ8のワンナイトクルーズ」の再現になります。

大阪南港
コンテナを積んだシャシーの積み込みをしていた

大阪南港フェリーターミナルの受付では参加者全員に対して検温がありました。感染予防のための船内での過ごし方を記した「参加者へのお願い」と携帯用消毒液が各自に配布されました。また接触者を明確にするため、船内では氏名を明記したストラップを首からぶら下げて過ごしました。

エントランスホール

「おれんじ おおさか」船内に入ると、贅沢な空間が迎えてくれます。

第一船の「おれんじ えひめ」は赤色で統一された内装でしたが、第二船の「おれんじ おおさか」の内装は青色で統一されています。

「シンギュラリティ・イヴ」(福島万里子作)
建造中に造船所内で描き上げられた

談話スペース スカイラウンジ

ロイヤル、スイート船客用
フォワードラウンジ

大阪湾内は強風が吹いていましたが、明石海峡を越えた辺りから風が弱まり、雨も降りやんで、オープンデッキに出られるようになりました。

明石海峡

乗組員への感染防止のため、本学会恒例のブリッジ見学会は開催されませんでした。客室は東予港発用に既に消毒済みで立ち入り禁止でしたが、一部の客室に限定して見学させて頂きました。

パブリックスペースは「おれんじ おおさか」と「おれんじ えひめ」ではインテリア色の違いがありますが、客室のインテリアに関しては大きな違いを感じません。

ロイヤルA 居室 ロイヤルA 寝室

スイート和洋室 スイート和室

シングル バリアフリー
コネクティングルーム
一般販売していない
団体用4名室

シングルルームの椅子とカーペットの色は本船は青、「おれんじ えひめ」は赤です。

バリアフリー浴室

レストランで昼食を取りました。座席の間隔を空けるため、1席置きに×マークが貼られています。

昼食のメニューは、オレンジフェリーの中でも人気が高い「宇和島鯛めし」と愛媛特産の「じゃこ天」です。「宇和島鯛めし」はオレンジフェリー瀬野副社長の食べ方解説付きで頂きました。

レストラン入口 座席数を減らしたレストラン

宇和島鯛めし
じゃこ天

備讃瀬戸では、海は更に穏やかになりましたが、瀬戸大橋は霞んでいました。

瀬戸大橋

瀬戸大橋通過後、講演会が開催されました。講演会の概要は本ページの後半を参照してください。

東予港入港

東予港着岸中に夕食を取りました。特製懐石弁当です。デザートは宮崎完熟マンゴーでした。

特製懐石弁当 メニュー

帰りは一般のお客さんも乗船する定期便です。

東予港出港

私の船室はデラックスシングルです。大阪~東予~大阪を利用しました。振動を感じない快適な船室でした。
洗面台はありますが、トイレ、シャワーはありません。ルームキーは、カードキーではなく昔ながらのキーです。

本船は全室個室です。さらにデラックスシングル以上の船室の空調は個室毎に独立していて、他の部屋と空気が混ざらない仕組みです。感染症予防の観点でもレベルの高い船です。(※最廉価のシングルは区画単位の空調)
参加者の一人が、デラックスシングルの船室の空調を暖房に切り替えたら、暖気が流れてきたとのこと。空調が独立している証です。

デラックスシングルの部屋には自分の自転車を持ち込むことができます(要:追加料金)。自転車に付いた泥汚れを船内に持ち込まないように、乗船時に対応処置をしているとのこと。

自転車を持ち込める
デラックスシングルの客室

本船の船室で残念なのはスイートクラス(旧特等)でも、トイレ、シャワーが設置されていない事です。清掃に時間が掛かるから設置していないと思っていましたが、「蛇口を捻ってから暖かいお湯が出るまで時間が掛かる」 「経年時の配管のメインテナンスコストが高額」など配管に関する種々の懸念から設置しなかったとのこと。

船室前の通路

明石海峡の通過を船室から見ました。大阪南港には定刻(6:00)入港です。

8:00までに下船すれば良いので、朝食は入港後ゆっくり食べられます。東予→大阪の朝食は、通常バイキング方式ですが、コロナ対策のため「朝食ワンコイン洋食」、「朝食ワンコイン和食」の2種類の定食から選択します。

大阪南港入港

下船後、多くの参加者が、大阪港に入港する「さるびあ丸」の写真を写しに行きました。
2020/6/26に運航を終了した東海汽船「さるびあ丸」(2代目)が海外売船に備えて大阪のサノヤス造船に入りました。

東海汽船「さるびあ丸」(2代目)


講演会概要

(1)「新たなるオレンジフェリーの挑戦」
四国開発フェリー(オレンジフェリー) 瀬野副社長


■燃料費と橋との闘い
・安定した利用が見込める九州~四国航路と異なり、阪神~四国航路は燃料費と橋(本四架橋)と闘っている。
・おれんじ7/8引退に合わせ航路廃止の検討もあった。

■おれんじえひめ/おおさか就航は「第二の創業」
・おれんじえひめ/おおさか就航を「第二の創業」と位置付けた。
・新造船は、省エネと快適性の具現化を追求した。
・一軸船にすることにより、20%の省エネを実現した。
・価格や速さで負けても、快適性では他の交通機関に勝っている。
・完全個室を実現するため、船体を大型化した。
・同じ一軸船のおれんじホープで問題となった振動を抑制するため、エンジンマウントを改善し、5翼可変ピッチプロペラを採用した。
・船室内への自転車持ち込みやターミナルに支援設備を用意して、自転車利用客に配慮した。
・レストランのお酒の品揃えには自信がある。

■新造船に合わせて港を作り変えてもらった
・新造船が一軸船になって喫水が深くなったため、それに合わせて港を作り変えてもらった。
・新造船の建造が遅れていたが、造船所の協力により新しい岸壁の供用開始式典に合わせて新造船を着岸させることができた。

■今後も今治造船での建造を続ける
・今治造船でのフェリー建造技術が廃れないように、今後のフェリーも今治造船に発注する予定。
・ネットバック価格(注)の考え方が適当と考えている。
(ふなむしの理解)安い船価を追求するのではなく、フェリー会社と造船会社の双方が適切に利益を分け合える価格。

(2)「ダイヤモンドプリンセスの新型コロナウィルス感染禍とポストコロナ時代の客船事業」
池田事務局長


■ダイヤモンドプリンセスでの対応は、総合的に成功したと言える
・那覇出港後に船室での隔離を始めていれば感染者を大幅に抑えられた可能性がある。実際には横浜入港まで通常のサービスが続けられた。
・船室での隔離開始後は、乗船客間での感染は発生しなかった。
・クルーズ客船の換気は陸上のビルや病院と比べて遜色なく、「換気の悪いクルーズ客船」は間違った認識。
・クルーズ船は乗客同士の会話や他人と接する飲食の機会が多い。
・廊下や階段の手すり、椅子のひじ掛けなどによる間接感染のリスクもある。

■ポストコロナ時代の客船事業
・日本発着クルーズは日本人客だけでは満船にできない。飛行機で来る外国人客頼りだったが、現状では早期のインバウンド復活は難しい。
・日本国内でのクルーズマーケットの開拓がますます重要となる。
・クルーズ対する悪いイメージの払しょくが重要。
・日本船の予約客からのキャンセルは少ない。リピーターが多く、クルーズに対して悪いイメージを持っていない。
・外国船はカボタージュ規制により日本発着クルーズでも外国に寄港する必要がある。外国の港へのワンタッチ寄港(乗客の上陸なし)により、日本人客だけを対象にしたクルーズ再開の可能性はある。

(3)「クルーズ再開にむけて」 梅田会長

■新型コロナ感染予防の認証準備開始
・各クルーズ客船の感染予防対策内容を第三者機関が審査し、認証する動きが各国で出てきた。
・2020/6/3日本海事協会が日本外航客船協会とともに「クルーズ船におけるバイオセーフティマネジメントシステム確立」の検討作業を開始した。
・新型コロナ感染予防の認証の流れは以下のとおり
①日本海事協会:マネージメントシステム規格策定
②クルーズ船社:マニュアル/マネージメントシステム作成
③日本海事協会:認証(書類審査→実地審査→鑑定書発行)
・各国の船級協会でも同様の認証準備を進めているが、船級協会間での相互交流は実施していない。

■新型コロナ感染予防認証の課題
・各国の法律、条約に基づくものではない。
・寄港先の港湾局がこの認証を認めるか?
・乗船客がこの認証を信じるか?


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