日本クルーズ&フェリー学会 設立総会 於:大阪府立大学 学術交流会館 |
クルーズおよびフェリーに関する学術の考究を通じて、クルーズ産業、フェリー産業および造船業の振興に貢献することを目的に、10月9日 日本クルーズ&フェリー学会が設立されました。
本学会は、過去に14回開催されたクルーズ客船&フェリー研究会を発展させたものです。
「クルーズ客船&フェリー研究会」および「クルーズ&フェリー学会」の他の年の講演会概要
日本クルーズ&フェリー学会設立 |
1.設立総会 定款を承認 |
2.役員選挙 会長 池田良穂氏、理事 10名を選出 |
3.各界からのメッセージ・祝電披露 日本外交客船協会他 |
講演 |
4.フェリー業界の現状と課題 (日本の長距離フェリー) 鈴木 修 (日本長距離フェリー協会会長 商船三井フェリー社長) |
・世間では長距離フェリーについての認知度が低いのが現状 ・設立当初(昭和48年)の会員は、18社27航路だったが、現在は10社16航路に減少 ・長距離フェリーは規制が厳しい 毎年の検査、沿岸20マイル制限(沿海資格船)、巨大船航行制限 2機2軸のコスト高 ・モーダルシフトの推進 CO2排出量はトラックの1/3〜1/5 ・高速道路料金問題 貨物・旅客ともに前年比2割以上の減収 上限料金制度は、長距離ほどフェリーが不利に |
5.クルーズ業界の現状と課題 池田良穂 (大阪府立大学大学院教授) |
・クルーズビジネスモデルは、伝統クルーズと現代クルーズに分けられる。 現在の主流は、現代クルーズ ・現代クルーズは、定点、定期(毎週同じコースを走る)で旅行会社が売りやすかった、航空規制緩和やFAXの普及がクルーズ拡大を助けた ・現代クルーズは、リーゾナブルプライス&ハイレベルサービス ・7万トン出現時は船会社も半信半疑だったが、船の大型化はコストダウンとサービスの多様化に結びつき、乗船客に受け入れられた ・クルーズ会社の寡占化が進んでいる(カーニバル、RCI、スター) ・1990年頃日本と英国のクルーズ人口は同じ位だったが、英国は10倍に激増したのに、日本は変化なし ・日本船はコスト高。 日本人船員のコスト高、日本船の外国人船員も外国船より給与が高い。 |
6.クルーズ客船とフェリーの安全性 梅田直哉 (大阪大学准教授) |
・客船は事故発生率は小さいが一度事故が起こると損害額が大きく(含む人命)、リスクは高い ・事故の中でで火災の発生率が高い クルーズ客船の場合 1.2/100 (隻・年) ・SOLAS条約はタイタニック事故を契機に締結されたが、新たな事故が起こるたびに改正されている ・古い数値基準は現在の船にとって適切ではなくなり、条約は数値基準から機能要件化してきた ・高齢者の乗船客が多い客船の場合、避難行動自体に危険性がある。事故が発生しても港まで安全に帰るための 規格(Safe Return to Port)が検討されている |
7.雑誌「クルーズ」20年の軌跡 若勢敏美 (海事プレス社社長) |
・事件が起こった時に専門誌としてどう対応してきたか ダイヤモンドプリンセス火災事故の際には、早期の改修完了を予想 ピースボートのさんま事件(『サンマがご馳走(ちそう)か!』の記事に対してピースボートが文芸春秋などを名誉毀損で訴え) ・「クルーズ」編集方針の変化 @創刊時は”豪華客船”のキャッチフレーズでクルーズを紹介 Aデスティネーションの紹介にシフト(飛鳥の世界一周開始に旨くのった) B客船の大型化で船内の紹介を充実。女性編集者を増やしエステの紹介 |
8.クルーズ市場の動向と「ながさき」の取り組み 前嶋了二 (クルーズながさき) |
・クルーズ人口は、オセアニアとアジアの成長が著しい ・アジア・太平洋地区のクルーズ人口は、2009年150万人、2020年には500万人と予想 ・日本の主要港の外国客船寄港は、2006年27回、2010年160回 ・「ながさき」は日本的御もてなしで、乗船客の満足度向上、リピータ向上を目指す。 中国語通訳不足が問題 |
9.パネルディスカッション 客船運航コストの削減と規制緩和 |
・津軽海峡フェリー 韓国船「パンスターハニー」から日本の基準に適合する「ブルードルフィン」に改装するのに十数億円かかった ドックバルコニーで動物を預かると動物保護法で資格者を乗せる必要がある。 結局、場所の提供にとどめた 売店の店員を船員扱いにすると、勤務時間の規制で売店を常時オープンできない。 船員扱いしなくて良いように折衝中 ・名門大洋フェリー 瀬戸内海の霧中での航行制限が明確な変更理由なく1万トン以上から160m以上に突如変更された おれんじ、名門がターゲットになった ・瀬戸内海の航行制限 狭水道の12ノット制限は操縦性能に悪影響、もっと早いほうが安全 来島海峡の追い越し禁止、海峡手前で船がダンゴ状態になっている ・沿海船の20マイル制限 最短コースを走れない、近海船にすると余分な設備でコストアップ、保安庁の救助体制も良くなっているのに |
交流会 |