平成1(左) アルカンシェル(右) 名鉄海上観光船 |
名鉄海上観光船の名古屋港遊覧船が11月末をもって運行を中止し、52年の歴史に幕を閉じます。同時に、名古屋港ガーデン埠頭と潮見埠頭(ブルーボネット)を結ぶ水上バスも運行を中止します。
運行中止を前に、名古屋港遊覧船に別れを告げてきました。
ポートビルの事務所 |
ポートビル1階の名鉄海上観光船の名古屋港営業所(乗船券売場)は運行中止と同時に閉鎖されます。ポートビルの1階にはベニスのゴンドラが展示されていたり、売店があったりしましたが、ここ数年でほとんどが撤去され、遊覧船の乗船客減少に合わせるように殺風景になっていました。
イタリア村を経営するセラヴィが、今年9月から四日市行きの航路を開設し、少しは活気付くかと思いましたが、入れ替わりになっただけのようです。閉鎖された名鉄海上観光船の事務所の跡地にはセラヴィが入るのかもしれません。
ガーデン埠頭の桟橋 |
この日は運行中止前の最後の週末でしたが、”さよならXXXXX”のような別れを惜しむ盛り上がりはなく、この遊覧船の現状をそのまま写した風景でした。 遊覧船の運行時刻を知らせるテープの声も寂しげです。
乗船券 |
名古屋港遊覧船 平成1(245トン) |
私が乗船した便の乗客は約20名で、定員のおよそ1/20です。乗船客の多くは家族連れで、遊覧船が1週間後に運航中止になることを知らなかったかもしれません。
子供たちは、広々とした船内で思い思いに楽しんでいました。
「平成1」の1階船内 |
「平成1」の2階船内 |
以前この航路に就航していた「金鯱」と入れ替わりに、「平成1」が遊覧船航路に就航した時、その高速性を活かして遊覧船のコースに変化がでることを期待していましたが、見事に期待はずれに終わりました。
現在の名古屋港の中心地は、金城埠頭や飛島埠頭なのですが、「平成1」はその手前でUターンしてしまいます。自動車運搬船やコンテナ船の姿をまったく見ずして戻ってしまいます。このコースでは、「また乗ってみたい。」と思わせるのは難しいでしょう。「平成1」の高速性は、魅力あるコースではなく、就航時間の短縮に向けられました。現在の所要時間は30分です。
名港中央大橋をちょっとくぐっただけでUターン |
この日の名古屋港には、練習船2隻が入港しました(26日に一般公開)。名港中央大橋からの帰りには、「大成丸」と並走する幸運に恵まれました。「大成丸」の練習生が甲板から手を振って挨拶してくれました。
「大成丸」との出会いがなかったら、退屈なクルーズだったのではないでしょうか。
練習船「大成丸」 | 練習船「青雲丸」 |
私がこの東海地区に移り住んで21年になりますが、その間名鉄海上観光船の多くの航路が廃止されていきました。(伊良湖〜鳥羽、蒲郡〜西浦〜日間賀島、西浦〜猿が島〜うさぎ島〜東幡豆)
一方、昨春伊勢湾には中部国際空港(セントレア)が開港し、いくつかの海上アクセスが開設されましたが、その何れにも名鉄海上観光船が関わることはありませんでした。
また、名古屋港に開設されたイタリア村が運行する遊覧船は多くのお客さんで賑わっているのを横目に、名古屋の遊覧船も運行中止に至ってしまいました。
果たして、名鉄海上観光船はこの先どうなってしまうのでしょうか?
金鯱2(1986年9月) | 金鯱(2000年4月) |