名古屋〜四日市航路就航
2006/9/9

いなば2(セラヴィ観光汽船
104総トン、1997年建造

四日市と中部国際空港を結び航路に高速船を就航させているセラヴィ観光汽船が、9月2日から名古屋港ガーデン埠頭と四日市浜園旅客ターミナル間に高速船を就航させました。土、日、祝日のみに1日2往復します。就航船は、四日市港内の遊覧船として就航していた「いなば2」です。

「いなば2」は、9月2日から同時に運行を開始した浜園旅客ターミナル発の四日市港内遊覧も実施しています。また、現在申請中の名古屋港と中部国際空港を結ぶ航路にも就航予定とのこと。

ガーデン埠頭の桟橋に停泊する「いなば2」(右)
平成1(左)とアルカンシェル(奥)と同じ桟橋を使用する

地下鉄の駅を降りても、ガーデン埠頭のポートビルに着いても、新航路就航の案内は一切ありません。ガーデン埠頭の桟橋には「いなば2」がいるので就航しているのは間違いないのですが、乗船券売り場も見当たりません。ポートビルの受付で聞いても”分からない”とのこと。”ポートハウスの中かも”とのことで、ボートハウスに行ってみると確かに乗船券売り場がありました。一安心。パルデメールのロゴが入った上着を着た人が販売していました。

私以外の乗船客は4〜5人で、四日市からイタリア村を訪れた帰りのグループです。

2階客室 エリツイン元大統領が使った釣竿

橋本元首相とロシアのエリツィン元大統領が伊東で首脳会談をした際、釣りに使用されたのが「いなば2」です。その時使用された釣竿が、今も展示されています。

2階の客室には舵輪やコンパスがあって操船気分が味わえます。またGPSのモニターがあって船の位置も知ることができます。
実は以前は、2階のブリッジと客室の間はガラス窓で仕切られていて、客室から操船状況も見られたのですが、今は壁で仕切られています。前方が見渡されたら、模擬ブリッジの意義も大きくなるのですが。

1階客室(前方を見る) 1階客室(後方を見る)

四日市港の港務艇的な役割をもっていたためでしょうか、1階の客室はテーブルや椅子のレイアウトが自由に変えられるようになっています。船の大きさの割には、座席が少なめです。客室後方にはバーカウンターがあります。

壁、天井や窓は傷みも無く綺麗ですが、床はかなり汚れていました。セラヴィへの移籍では、船内にはほとんど手が入っていない雰囲気を受けました。

名古屋港を出港
(名港中央大橋)
四日市港入港

ガーデン埠頭を離れると加速して24ノットくらいまで達する。名古屋港港内でこれだけの速度は初めての経験です。爽快です。
金城交差部で若干速度を落としましたが、それでも22ノットは維持していました。
他船の引き波を越える時や、変進する時などにちょっと揺れるのが気になりました。

金城埠頭、飛島埠頭を右手に見ながら航海します。左手の名古屋港ポートアイランドを通り過ぎると三重県に入ります。
右手には長島温泉のジェットコースター群、左手には沖待ちの貨物船群を見て進みます。
やがて、四日市港ポートビルが見えてくると速度を落とします。

四日市港港内で、セントレア行きのシーワープとすれ違いました。


四日市港で下船後、「いなば2」は港内遊覧航路を走るので、引き続いて乗船しました。何とこちらの乗船客は私一人。貸切運行でした。

港内遊覧航路は、以前「いなば2」が実施していたコースとほぼ同じコースです。通常料金は1000円ですが、四日市市民は800円の割引料金です。社会見学としても意味合いも強い物と思います。

コンビナートを海から見学

船内の案内放送と実際の光景がアンマッチのケースがありました。船のトン数の計算方法の説明で、QE2が例として紹介されていましたが、トン数が間違っています(情報が古い)。古いテープをそのまま利用している感じがします。

右は四日市ドーム 四日市ドーム前桟橋

途中、四日市ドーム前の桟橋に着けました。15分間の停泊とのことですが、15分間では四日市ドームも、大阪万博オーストラリア館も見て周れないのであまり意味がありません。私にとっては撮影ポイントが増えて好都合でしたが。四日市ドーム前からは同じコースを浜園桟橋まで戻りました。


四日市港〜中部国際空港航路は、四日市市が完全バックアップする航路なので、港内遊覧船も同じ扱いかもしれませんが、名古屋〜四日市はセラヴィ独自に運行するのでしょうか? 
このコースを移動交通機関として利用する人はほとんど期待できないでしょうから、イタリア村観光とパックにした観光航路を目指しているのかもしれません。

港内遊覧船、もっと魅力ある航路にできないものでしょうか? 自動車運搬船、コンテナ船、LNGタンカー、オイルタンカーと魅力ある対象が目の前にあるのですが。
停泊する自動車運搬船にもっと近づけば、その大きさを実感できることでしょう。数多くの自動車が吸い込まれて行くのは驚きです。コンテナ船にもっと近づけば、コンテナを荷役する仕組みをこの目で見ることができるかもしれません。タンカーにもっと近づけば、四日市港の役割が実感できるかもしれません。
15分間の余裕があるならば、これらの船の近くに泊めてみませんか?


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