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ふなむしのひとりごと(2019)


■巨大船とは(9/10)

新日本海フェリーのSHKライングループが、2021年春に横須賀~新門司航路に新造船を就航させることを発表しました(8/30)。昨年末の計画発表以降、どんな船が就航するのか、他航路からの転配か新造か等、マニアの間でよく語られる話題になりました。

横須賀~新門司527マイルを20.5時間で結ぶので平均25.7ノット出さなければなりません。これだけの速度を出して、燃費に配慮するとなると、新日本海フェリーの舞鶴~小樽航路、敦賀~苫小牧東航路と同等の船になることでしょう。さらにその後の新技術や新船型を取り入れた船になるのかもしれません。造船所は200m超の船が建造できる三菱造船長崎造船所です。

太平洋航路のフェリーとして初の巨大船になります。巨大船とは長さ(全長)200m以上の船舶の事で、海上交通安全法で規定されています。巨大船の航行については種々の制約があるため、日本のフェリーの多くは、長さを200m未満に抑えています。

巨大船のメリットとデメリットは何なんでしょうか? 調べてみました(説明に正確でない点があっても、ご容赦ください)。

●メリット
(1)大量輸送
船が大きくなると沢山のトラックが積めるので、大量輸送のメリットがある。
(2)スピードが出し易い
船が航行する際の抵抗は主に、・船体と水との摩擦抵抗 ・船が波を起こすことによって受ける造波抵抗。フェリーのような高速船にとっては造波抵抗の割合が大きくなる。
造波抵抗はフルード数(Fr)に支配されていて、フルード数が0.25を超えると造波抵抗が急激に増加する。

フルード数Fr=U/(L x G)1/2
U:速度(m/s)
L:水線長(m)
G:重力加速度(m/s2)
例)
L=200m、U=25.7kt(13.22m/s)、Fr=0.299
L=224m、U=25.7kt(13.22m/s)、Fr=0.282

同じ速度の場合、船の長さ(水線長)が長い程フルード数が小さくなり、造波抵抗抑制には有利。
最近はやりの垂直ステム船は、全長は同じでもフルード数計算に関係する水線長を長くできるので、造波抵抗抑制には有利。

●デメリット(全長224m、総トン数16000トンのフェリーの場合)
(1)夜間航行禁止
来島海峡航路、備讃瀬戸航路などでは、夜間航行できない。
(2)潮流による航行制限
来島海峡航路では、潮流が3ノットを越える場合は航行できない。
(3)視程制限時の航路外待機
浦賀水道、伊良湖水道、明石海峡など多くの航路では、視程2000m以下の場合は航路外で待機する。
(全長160m~200mの船舶は、視程1000m以下の場合は航路外で待機する。)


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