祝30周年 海の日のつどい
名古屋港ポートビル
(2014/7/19)

名古屋港ポートビル
30周年記念特別展


航海クラブ東海支部 ・名古屋港友の会共催の「海の日のつどい」が開催されました。

「海の日のつどい」は今回19回目、前身の「弓場キャプテンを囲む会」の開催から30周年です。 今年は同じく7月に名古屋港ポートビルが開業30周年にあたるので、ポートビル建設に携わった名古屋海洋博物館の柿内賢治さんに当時と今後のポートビルと名古屋海洋博物館について話して頂きました。

弓場キャプテンは名古屋在住の商船三井客船の名物キャプテンでした。

(1) ミナトの移り変わり・この30年(荷姿が港の姿を変えた) 
(名古屋海洋博物館)
柿内賢治さん
 
コンテナ船が登場するまでは、荷役に時間が掛かって貨物船の停泊時間も長く、荷役のための港湾労働者も多かった。 築地口の近辺には船員と港湾関係者が利用する店が軒を連ね、街は賑わっていた。荷役がコンテナ化するに伴い街から人が減っていった。 また船舶の大型化により港の中心地が水深の深い南部に行ってしまい市民から船が遠ざかってしまった。

港湾機能が無くなった場所で、市民への還元のために計画されたのが、ポートビルと名古屋海洋博物館建設だった。

ポートビル建設はコンペ式が採用され、博物館の企画委員会は東京と名古屋に置かれた。 地元の意見を反映し、近隣の博物館との連携にも配慮した。 博物館は”海洋博物館”とし、港湾だけでなく台風の発生についても展示する博物館にした。

来年3月に博物館をリニューアルオープンする。 船の操縦やガントリークレーンによるコンテナの積み下ろしをシミュレータで体験して、子供達が港の仕事を知ることができる参加型の博物館を目指す。9.11同時テロ以降岸壁にフェンスができて市民を港から遠ざけてしまったが、博物館の行事として「港の見学会」を開催して、市民や子供達に名古屋港をもっと知ってもらう。

(2) 海の自然と安全な航海
(商船三井客船 名誉船長、航海クラブ会長)
渡辺輝夫さん

四方八方から波が来る海域は三角波ができて海の難所となる、日本近海では潮岬、石廊崎、野島崎の沖が難所だ。 野島崎沖では、1969年〜1970年に連続して大型貨物船の沈没事故が発生している。

不規則な波が重なると百波一波(百波に一波の比率で来る大波)、千波一波(千波に一波の比率で来る大波)の大波が来ると言われているが、長い船上生活の中で一発大波の経験はなく、英語のフリークウェーブ(気まぐれ波)の表現が当たっていると思う。

前方や真横から来る大波は大型船を危険にさせることは少ないが、後方からの波は危険だ。 船の動揺周期と斜め後方からの波が同調すると危ない。 また、船の速さと後方からの波の速さが一致するとブローチング現象を起こして舵が効かなくなる。

船の重心には細心の注意を図って来た。 しかし貨物船の航海士として乗船したある航海では、船倉の下部に積み込む予定だった重量物の貨物が都合で積み込めず、燃料も消費してバラストが少なくなって重心が上がってしまった。 この状況で、パイロットがハードポート(又はハードスターボード)の指示を出したらどうなることかと心配した。

韓国のフェリー事故は、多くの要因が重なった結果と考えられる。 事故が起こった時に直ぐに、厚着をさせて救命胴衣を着用させて乗客全員をデッキに集めていれば、ほとんど犠牲を出さなかったことだろう。

名古屋港ポートビル
30周年記念特別展


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