航海クラブ夏の行事
2006/5/13 セントレア遠足
2006/7/22 海の日のつどい

(1) セントレア遠足(2006/5/13)

”オトナの遠足”と題して航海クラブ東海支部で、中部国際空港(セントレア)に行って船に乗るツアーを開催しました。生憎の雨空になってしまいましたが、東は東京、西は京都から11人のオトナが遠足に行ってきました。

コース:名古屋→(名鉄ミュースカイ)→セントレア→(常滑ミナトライン)→常滑→(伊勢湾フェリー)→鳥羽→(JR)→名古屋

参加者の都合に合わせて、合流場所も離脱場所も勝手に決められる自由な遠足でした。

光風(常滑ミナトライン
常滑港
知多丸(伊勢湾フェリー
常滑港


(2)海の日のつどい(2006/7/22)

毎年夏の恒例となった”海の日のつどい” 今年のゲストは、元大阪商船三井船舶 クォーターマスター 志賀源吾さんです。
”南米航路よもやま話・絵と共に”と題して、南米移民船航路について話して頂きました。志賀さんは船を降りた後、絵描きさんになり、カルチャースクールで水彩画の講師も担当しています。志賀さんが自ら描いた移民船の絵を指し示しながらの講演でした。

自作の”笠戸丸”を示しながら
熱っぽく語る志賀さん

再来年の2008年は南米移民100周年の年にあたりますが、志賀さんが勤務していた当時の大阪商船パナマ運河経由東航南米航路の移民船は、あるぜんちな丸(後の にっぽん丸)、ぶらじる丸、さんとす丸、あふりか丸、あめりか丸の5隻です。志賀さんの話のメインは、この5隻の中のあふりか丸、あめりか丸の船内生活です。

南米移民船の出発地は神戸で、翌日横浜を出港すると日本を離れます。ロサンジェルスまでの大圏航路は荒れる航路で、多くの乗客が船酔いに苦しんだそうです。乗船客は移民者だけでなく、アメリカまでの渡航者も含まれていて彼らはロサンジェルスで上陸していきますが、移民者は一時上陸も許されません。

南米移民船は貨客船で貨物も積んでいます。乗船客の船室は一番上の船倉に作られていて、ほとんど貨物と同居しているような船内生活です。南米からの帰りはここも貨物室になります。南米行きの貨物は鉄鋼製品や自動車部品が主で、鉄道のレールが多かったようです。帰りの貨物は、鉄鉱石や羊毛、木材が主ですが、牛の生皮の塩付けを運ぶことも多く、これが凄い匂いだったとのこと。日本に帰国後、次の南米行きに備えて、船内清掃と壁の塗りなおしを実施しますが、この牛皮の塩付けの匂いが抜けず、この船倉に割り当てられた乗船客には気の毒だったとのこと。

ロサンジェルスからパナマ運河までは穏やかな航海になりますが、冷房のない船内は厳しい暑さになります。
あまり居心地の好くない船内生活の中で、運動会や盆踊りなどのイベントは盛り上がったとのこと。乗組員と乗船客の間にも垣根のない交流があったようです。
長い航海の間には赤ちゃんの誕生もあり、そんな日は赤飯でお祝いです。反対に船上でお亡くなりになった方もあり、船内で棺おけを作って水葬にしたとのこと。また、独身者にとっては船上は出会いの場でもありました。そこでお相手をみつけた一人が、志賀さんご自身です。

パナマ運河を抜けてカリブ海を航行中に僚船と反航します。向こうの船には南米で成功して日本に一時帰国する人もいれば、夢破れて日本に戻る人もいます。志賀さんは、先日話題になったドミニカ移民からの撤退者を日本に戻す航海にも立ち会ったとのこと。

ブラジルのべレンで移民者の第一団を降ろし、その後ブラジル、アルゼンチンの各港に寄港します。各々の港ではWAY旗(ご安航を祈る)を掲げて、移民者の成功を祈りました。

志賀さんの講演中、会場下のガーデン埠頭に ふじ丸 が接岸しました。あふりか丸、あめりか丸と同じ会社の客船ですが、乗船の目的や、乗船客の心中は、全く異質な船旅です。


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