太平洋フェリー きそ 乗船記
2005/10/22〜24

きそ (太平洋フェリー
16,000総トン
全長199.9m、全幅27m

今年1月に就航した太平洋フェリーきそ に、名古屋港でのお披露目以来、ようやく乗船することができました。


名古屋港

名古屋港金城埠頭までは、これまでJR名古屋駅の名鉄バスセン ターからの直通バスを利用することが多かったのですが、 今回は開業1周年を迎えたあおなみ線を利用しました。

しか し、これが大失敗。 フェリー埠頭の最寄駅野跡(のせき)駅であおなみ線を降りると、ここから名古屋市営バスの乗り換えます。このバスは1時間に1本です。 もともと乗り換え時間に余裕があった上に、予定より早い電車に乗ってし まったため、野跡駅で50分近く待つ羽目になってしまいました 。

バス停は歩道に標識があるだけの屋根もない停留所だったので駅構内で待つことにしましたが、西からの強風が駅構内にも吹き 込んで、寒さが身体に堪えました。乗船前にこんな風が吹いていると、「揺れる航海になりそう」と乗船後のことを心配するものですが、 この時はとにかく早くバスが来ることを祈っていました。その祈りも通じず、バスは10分以上遅れて到着です。 フェリー埠頭まではバスで7〜8分程度の距離なので、2人以上の場合は駅からタクシーを使う方法が便利かもしれ ません。
という訳で、あおなみ線は乗り換えの悪さでお勧めできません 。

出港1時間半前

ターミナルの1階で乗船証を受け取り2階の待合所に行くと、団体客で一杯です。 名古屋港の待合所は狭いのが難点。TVで放映していた日本シリ ーズも気になりましたが、待合所を出て きそ の写真を撮っているうちに、乗船時間となりました。 ここから長い通路を通って何度も階段を登ってようやく乗船です。高齢者や足の悪 い人とっては大変な道のりは、まだま改善できていません。 送迎バスでカーデッキから乗船して、船内のエレベータを使 って客室エリアに上がるようなサービスをしては如何でしょうか。

レストラン タヒチ

レストランタヒチの営業は出港1時間前の19時から始まります。19時からだとゆっくり食事を採っても、出港時間に十分間に合いま す。
太平洋フェリーは全食バイキング(夕食1800円、朝食、昼食900円)ですが、レストラン入り口で現金を支払っている人は極僅かで、多くの人はチケットを手渡していました。乗船客の多くは団体さんのようです。

開店直後は混んでいて料理を取るのにも時間が掛かりましたが、その後は落ち着いた感じです。それでもテーブルはほぼ満席で、席を探して人が見られました。私は天井が明かり採りになっているカウンター式の丸テーブルに陣取りましたが、ここは意外に人気が高く、4人用のテーブルが空いているのわざわざこちらを選んでいるグループもいました。

いしかりでは、料理が盛られたカウンターと厨房の間に客席がありましたが、きそではカウンターと厨房が直結しているので、料理の補充がスムーズです。開店直後に入店したお客さんが食べ終わる頃、2ヶ所あった料理カウンターの片方が片付けられ1ヶ所にまとめられました。
料理のメインがステーキなのは以前と変わっていません。品数がちょっと少なくなったように感じましたが、気のせいかもしれません。飲み物はサーバからセルフサービスでいれますが、コーヒは一杯一杯抽出するタイプです。ちょっと時間が掛かるのが難点。紙おしぼりもボタンを押すとサーバから1個1個出てきます。


名港西大橋を後にして出港

ラウンジ サザンクロス

太平洋フェリー恒例の夜のイベントは、ポニー東山さんのピアノと高由美さんのヴァイオリンの演奏です。
ピアノとヴァイオリンの演奏と聞いて、ちょっとお堅いショーを想像しましたが、いきなり演歌で始まったポニー東山さんの登場から想像とは違っていました。ポニー東山さんは、ラウンジピアニスとして世界18国を回る経歴を持つ一方、中日文化センターではカラオケの講師も務める幅広いキャラクターを持つ人です。”そんなに、客をいらって大丈夫?”とこちらが心配するくらいの冗談を交えたトークを入れながらのショーです。

一方、高由美さんも本職のヴァイオリン演奏だけでなく、演歌を聴かせてくれました。アンコールの際、ポニー東山さんが一人で勝手に曲を決めて前奏を始めるのを、どの曲になったのか心配そうに見ている由美さんの表情が面白かった。
きそのショーラウンジは本格的な設備を持ったものですが、空調設備には配慮がなかったようで、かなり五月蝿い音を立てていました。

アンコールで盛り上がったので予定時間をちょっとオーバーしてショーは終わりました。きそは、伊良湖水道を通過中でした。

ポニー東山さんと高由美さん 衣装を変えた23日のショー


前夜はピッチングが激しく、前部にある私のキャビンは、揺れと伴に小刻みな振動が加わっていました。しかし、朝食のレストランは盛況だったので、昨夜の揺れは体調を崩す程ではなかったようです。デッキは波しぶきを浴びたせいでしょか濡れていました。

房総半島の東を北上する 朝の冷たい風が身を引き締める

先代のきそはエンジンの振動が激しい船でしたが、この船は船尾にいても気になるような振動はありません。デッキは煤もなく綺麗です。さすが新造船。

マーメイドクラブ

左舷のマーメイドクラブ

左舷にあるマーメイドクラブは軽食のメニューも豊富なので、レストランの代わりにこちらで食事をする人も多くいます。無料の給茶機もあるので、持込のお弁当やパンを食べている人もいます。
ここから船尾のレストランまでは窓沿いにテーブルが並んでラウンジ風になっています。ちょっと硬めの椅子が心地良い。

ボラボラ

右舷のドリンクハット ボラボラ ボラボラ後方のOAコーナ

右舷のボラボラはパンフレット置き場になっているだけで、飲み物の販売は行っていません。直ぐ近くにマーメイドクラブがあるので、ここで営業しなくても不便はないでしょう。ボラボラは喫煙コーナとしての役割りが大きいものと思います。ボラボラ後方のOAコーナはあまり利用されていませんでした。乗船客の年齢層にもよるのかもしれませんが、後方が行き止まりになっているのも一因のように思います。


船内のオブジェ達

特等のキャビン

ここのところ太平洋フェリーに乗船する際は、アウトサイドの1等2名室を使用していたのですが、きその1等2名室はインサイドだけなので、今回は特等にしました。ちょっと料金がアップしてしまいました。
特等室はあまり利用したことがないので他船との比較ができませんが、広さや基本的な設備は遜色がないのではないでしょうか。TVが液晶タイプになりスペース的に大きく貢献していると思います。ただし、角度が変わらないので、窓際のソファからは見難いのが難点。鏡がベッドランプの上にありますがこれが使い難い、机の前にあるべきではないでしょうか。

鏡は机の前にほしいなあ TVの角度は変えられません

きその給湯設備は優秀で、いつでも熱いお湯が出てきます。温度調整の値よりちょっと高めなのでやけどしないように注意が必要です(展望浴場も熱い)。逆に、きそのバスタブは最悪。バスタブ内でシャワーを浴びるとお湯が零れて、床がビタビタになります。決して私の使い方が悪いからではないと思いますが、足拭き用のタオルと予備のバスタオルを総動員しても、びしょ濡れになりました。対策用?の突起物が取り付けられていますが、効果なしです

お湯が零れるバスタブ

昼のピアノ演奏

23日の昼間と24日の苫小牧入港直前にも、ポニー東山さんのピアノ演奏がありました。乗船客からのリクエストに応えていますたが、ジャンルも様々で、中には10曲以上もリストに書き留めてきた人もいましたが、無事演奏できていました。
他に恒例のイベントとして、キャプテンズトークを期待していましたが、今航海は開催されませんでした。残念。

きそのパブリックスペースのトイレの入り口には扉がありません。そのため、エアータオルの音が演奏中にラウンジまで聞こえてきて気になりました。ショーラウンジの空調音も含めて、何故と思ってしまいます。

昼のピアノ演奏

きたかみとの反航

僚船との行き会いは太平洋フェリーの大きなイベントです。遠くに見えた きたかみ がみるみる大きくなり、やがて足早に遠ざかっていきました。

デッキに集まった人達 ちょっと少なめ 反航する きたかみ

仙台港入港

仙台港に入港する頃には、空はかなり暗くなっていました。出港までの時間を利用して、港の周辺を歩いてみようかなあと思いましたが、フェリーターミナル周辺は街灯もなく、歩道上にあちこちある水溜りも見えない程だったので、あきらめてターミナル内で時間を潰しました。
ついでにターミナル内の食堂(実は、売店内のカウンター)で夕食をとりました。船内のレストランに飽いた人にはお勧めです。

仙台港のきそ

名古屋からの団体客に入れ替わりに乗船して来たのも団体客。太平洋フェリーは団体客をうまく掴んでいるようです。
ポニー東山さんが、”きそは、外国の豪華客船に負けない船ですが、乗っているお客の質が違います”と冗談を言っていましたが、今回の団体客はいずれも上品で、マナーはけっして悪くありませんでした。


苫小牧港入港

22日目の夜にも増して23日の夜も揺れましたが、きそは遅れもなく順調に航海を続けました。翌朝、天気は良かったのですが風は強く、デッキに長居はできません。双眼鏡から見る山々には風力発電の大きな羽が数多く見えるので、この風の強さはいつものことなのでしょう。

沖合いに1隻、岸壁にもう1隻 さんふらわあを見て、苫小牧に入港しました。ぴったり時刻表どおりの接岸です。

苫小牧港からは、JR苫小牧駅行きと、札幌行きのバスがあります。私は、苫小牧駅行きのバスに乗り、きその旅を終えました。

苫小牧港入港

まとめ

今回乗船してみて、改善してほしい点が幾つかみつかりましたが、それでも、きそは居心地の良い船です。船内は綺麗で華やかでお勧めできる船です。

苫小牧港のきそ

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