太平洋フェリー ニュー「きそ」見学会
2005/1/23

きそ(太平洋フェリー)
15,795総トン、全長199.9m、全幅27m

太平洋フェリーが「いしかり」以来、14ぶりに新造船を建造しました。「いしかり」は就航以来現在まで、”日本一のフェリー”の座を守り続けてきたので、次の「きそ」には誰もがそれ以上の期待を掛けたことでしょう。

これまでも太平洋フェリーの新造船が就航する際には見学会が開催されましたが、テロ対策強化の影響もあって、今回は事前申し込み方式がとられました。応募者多数のため、落選した人も多かったのではないでしょうか。また、「いしかり」「きたかみ」の見学会は、客船が発着するガーデン埠頭で開催されましたが、今回は就航後の開催ということもあってか、フェリー埠頭での開催です。
フェリー埠頭へは、昨年開通した「あおなみ線」野跡駅から無料のシャトルバスが運行されました。

客室前部が3層になり
見た目に大きくなった印象を受けます
角ばった大きめの煙突

受付で、入場券代わりの絵葉書と、船内案内図、パンフレットを貰って乗船しました。過去のフェリーの見学会で配布された半額優待券が貰えなかったのが残念。


(エントランス)

旅客スペースは、5デッキから7デッキの3層です。5デッキの乗船口から船内に入ると、3層吹き抜けの空間が目に入ります。上下に伸びた”光壁”が装飾と照明の役目を担っています。”光壁”には、隠し文字が読み取れます。

3層吹き抜けの空間 ”光壁” 

(5デッキ)

5デッキには、インフォメーション、売店、展望大浴場、ゲームコーナがあります。

こじんまりとしたインフォメーション 柳原良平さんのイラスト

6デッキにはパブリックスペースが集中して配置されています。前部に開放的なラウンジ、中央にショーラウンジ、後部にレストランがあります。他の船にはあるバーが、「きそ」では廃止されています。「いしかり」のバーも、私が乗船した時はあまり利用者がいなかったので、「きそ」では廃止されたのかもしれません。しかし、明るく開放感のある船内で、一ヶ所くらい薄暗いところがあっても良いように思います。

(6デッキ前部パブリックスペース)

左舷に”マーメイドクラブ”、右舷にはドリンクハット”ボラボラ”があちます。”マーメイドクラブ”の中央はピアノステージになっています。「いしかり」のピアノラウンジはスペース的にかなりゆったりしていますが、座席の間隔が狭いこちらの方が落着くかもしれません。

マーメイドクラブ ボラボラ

左舷側”マーメイドクラブ”の後ろは、軽食コーナ&バーカウンター、プロムナードと続きます。この辺りは、海外のクルーズ客船に近い雰囲気で、私が最も気に入った場所です。

軽食コーナ&バーカウンター プロムナード

右舷側には、OAコーナがあってコンピュータ用の電源コンセントが利用できます。

OAコーナ

新造船なのに、早くも 壁や柱に ”落書き” をした人がいました。

柳原良平さんの落書き ヒサクニヒコさんの落書き

(6デッキ中央ショーラウンジ)

ショーラウンジが下のデッキに降りてきたので、利用者が増えるかもしれません。一段と本格的に仕様になっているし、映画も上映できるようなので、昼間は映画、夜はショーを上演すれば、利用度も上がりそうです。

ショーラウンジ ”サザンクロス”の入口 ”サザンクロス”の内部

(6デッキ後部レストラン)

レストラン”タヒチ”は、バイキングの食事に都合の良いレイアウトになりました。「いしかり」では、料理を補充するウェイトレスの方が乗客の間を行き来する姿を見ましたが、「きそ」では厨房から直接補充ができます。お客さんが料理を採りに行く時も、行き来しやすい配置になったと思います。

内装は木の風合いを活かした内装で、床も板張りです。

レジに貼られたメモを盗み見したら、乗船客の数とこのレストランを利用した人の数が書いてありました。団体客の多さと、このレストランを利用する人の割合の高さが分かりました。

レストラン入口 かじきマグロの装飾

デッキからの光が入る中央の円卓 扉を閉めれば、団体用の個室にも使える一画

レストランに隣接する”ローズルーム”
小パーティに利用できる

(案内表示)

船内の案内表示は、最近のビルでよく見られるようなスタイルです。

船内レイアウト エレベータ横の案内板

(スィートルーム)

スィートルームは、6デッキに4部屋あり、右舷がロイヤルスィート、左舷がスィート、中央2室がセミスィートです。いずれもバスルームは窓のある展望風呂です。

私が乗船する場合、最大2泊3日の航海では、贅沢したとしてもセミスィートが精一杯かなあ。

スィートルーム ロイヤルスィートのリビング

セミスィートルーム セミスィートのバスルーム

ロイヤルスィートの玄関 キャビンデッキの通路

(特等)

木目の内装で落ちついた雰囲気の特等。特等以上のトイレは、シャワートイレです。但し、パブリックスペースのトイレにもシャワートイレがありました。

特等洋室

(1等)

1等アウトサイド和洋室は、従来の2段ベッドからツィーン仕様に変わりました。特等と比べて、若干狭くて、内装も質素ですが、通常期2人でも貸切のできるので、2人で乗船の方には1等和洋室がベストチョイスと思います。ただ、他の船と比べて狭いので、家族連れには不向きになってしまいました。(太平洋フェリーのHPには、”4人で乗船の場合は2室予約してください” と記されています。)

「きそ」のキャビンの中で不人気になるとしたら、1等インサイド洋室2人部屋かもしれません。船体中央の吹き抜けを利用して外光を取り入れる仕組みになっていますが、擦りガラスになった窓は電気の照明と代わり映えせず、開放感を得るようにはなっていません。実際に乗船してみないと本当の感じは掴めないかもしれませんが、比較的部屋数が多いタイプのため、不人気になると問題です。

他の部屋が見えないように斜め窓にすることはできなかったのでしょうか。透明の斜め窓から、南太平洋をイメージした海や花が見られれば、それが絵や造花であっても、心が休まるかもしれません。

1等アウトサイド和洋室 1等インサイド洋室(窓は擦りガラス)

(2等)

2等には、大部屋の和室と 2等B寝台、2等S寝台があります。大部屋の比率はかなり低くなっています。

2等S寝台は個室感覚の1段式寝台で、液晶TVも備わっています。1人旅の人に重宝するかもしれません。2等B寝台はJRの寝台特急のスタイルで、2人で利用すると個室感覚で使用できるかもしれません。但し、TVはありません。

最近建造されるフェリーはバリアフリーに配慮していますが、「きそ」でもバリアフリーの客室が多くあり、S寝台室も段差を無くしたり、部屋の中の通路を広くしたりしています。

液晶TVもついた S寝台
手荷物のスペースも多い
B寝台(上段) B寝台(下段)

2等和室

(オープンデッキ)

もっと遊び感覚があっても良いかなあ!

(まとめ)

「きそ」は我々の期待を裏切らない出来栄えです。”日本一のフェリー”の座は、「いしかり」から「きそ」に移るのは間違いないでしょう。新しい船なので当たり前かもしれませんが、当たり前のことができているのは、太平洋フェリーの客船作りのスタンスに迷いがなく一貫性であるからでしょう。他の会社の船と競えば互いにもっと良い旅客設備の船ができるかもしれませんが、当分の間は「きそ」を超える船はでないでしょう。次に”太平洋フェリー”を越えるのは、やっぱり”太平洋フェリー”でしょうか。愛知県に住むふなむしにとっては地元の会社の事で、嬉しい話ではありますが、他の船会社も頑張ってほしいものです。

船の良し悪しは、見学会だけでは分かりません。早く動いている船に乗船して、「きそ」の良さを味わってみたいです。


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