名古屋海洋博物館特別展
客船模型・写真展
2002/3/9

名古屋港ポートビル4階講堂で開催中の、名古屋海洋博物館特別展「客船模型・写真展」に行ってきました。

週末とあって、増築されて大きくなった水族館目当ての家族ずれが名古屋港に大勢来ています。築地口からの道路に立つ交通案内の人の数からも、入場者の多さが推し量られます。私が到着したのが午前中だったので、それでも駐車場にはまだ余裕がありました。

ガーデン埠頭のスピーカーは、今日は第2土曜日なので、南極観測船「ふじ」と海洋博物館には、小学生が無料で入場できることを告げています。「客船模型・写真展」の開催についても案内が流れています。

名古屋港ポートビルには、展望台、海洋博物館、レストラン等が入っていますが、4階講堂は「その気」にならないと辿り着かない所です。「客船模型・写真展」の開催を知らない人がふらりと立ち寄ることは難しい場所です。

4階講堂の会場に入ると、「飛鳥」のりっぱな模型が目に入ります。他に「にっぽん丸」「ふじ丸」「ぱしふぃっくびいなす」「クリスタル・シンフォニー」の模型もあり、模型ではありますが、日本のクルーズ客船船隊を一同に見ることができます。ここに「おりえんとびいなす」「クリスタル・ハーモニー」がいれば完璧です。

模型の周りには、世界のクルーズ客船の写真が掲示されています。クルーズ会社からの提供による船の全景が分かるカタログ風の写真です。客船の写真のうち何点かは、見覚えのあるアラスカやベニスの写真です。自分の乗船した船や、訪れたことのある港の写真を目にするのは嬉しいものです。

写真の中には、船名が間違っている(別の船の名前になっている)物が一部あり残念です。写真を良くみれば分かるはずなのに単純なミスです。子供の頃、自分が写した船の名前が分からなく、写真に虫眼鏡をあてて、必死に船首の船名を読み取ろうとした思い出があります。ここの写真は、そこまでしなくても容易に船名が読み取れるのに。

博物館用の大きな模型の他に、愛好家の作成したペーパーモデルやボトルシップも数多く展示されています。作者の中に、知人の名前を見つけた時には「頑張っていますね。」と声を掛けてしまいました。これらの模型の展示で残念だったのは、並べ方です。ただ何となく模型が置かれているだけで、博物館の展示物としての意図が感じられません。年代別、日本船/外国船、航路別など、展示に工夫すれば資料的価値もでてくるのに惜しいなあと思います。

会場の中程にちょっとしたスペースがあって、シャッフルボードと輪投げができるようになっています。船旅の経験者にはデッキ遊びとして定番であるシャッフルボードや輪投げですが、経験のない方にも理解してもらえたでしょうか。その横には船室風の部屋があって、商船三井客船の食器や絵葉書が展示されています。反対側には、戦前の「浅間丸」や現代の「飛鳥」「クリスタル・シンフォニー」のレストランのメニュが展示されています。同じ食事に関する物なのに別れて展示されているのは、展示物の提供元が異なる性でしょうか。

他に、客船操縦シュミレーションがあったり、Tシャツやボールペン、キーホルダーなど、船内で販売しているグッズが購入できる売店コーナもありました。


この特別展をひと通り見てみると、テーマが何であるのかぼやけてしまっているように思えます。「客船模型・写真展」を全面に出すなら、ボトルシップやぺーパーモデルの製作方法の詳しい説明や、作成途中の作品の展示があった方がよかったのではないでしょうか。簡単なペーパモデルの作成体験コーナがあって、作品を持ち帰られれば子供は大喜びでしょう。売店には客船のペーパーモデルキット(本になった物)も置いてほしいです。写真の充実も必要です。パンフレット風の写真だけでは、「写真展」とは言えないでしょう。

シャッフルボードや輪投げ、食器の展示は、「客船模型・写真展」からは外れているように思います。これらの展示は、クルーズの船内生活についての紹介する「クルーズ客船展」として紹介するのなら活きてくると思います。「クルーズ客船展」で展示される写真は、日の出から深夜までの船内生活を存分に表現しているものが望ましいでしょう。そのなかには、デッキでシャッフルボードや輪投げをしている写真も含められるべきです。また食器やメニューは、クルーズ客船が提供する一日分の食事のすべてをもれなく写した写真と一緒に展示すると、見る人にとってインパクトを与えるかもしれません。船旅専門誌に協賛してもらえば、これらの写真は幾らでも手に入るのではないでしょうか。そして展示の最後には、自由に持ち帰られる船旅のパンフレットでも置けば、これらの素晴らしい旅行が、意外に安価で実現することが分かってもらえるのではないでしょうか。

この展覧会は名古屋海洋博物館の特別展のため、海洋博物館が入っているポートビルで開催するのは当然なのでしょうが、これを水族館の中か、または水族館の近くに仮設の建物(コンテナでもOK)を建て、その中で開催すれば遥かに多くの方に見てもらえたことでしょう。


GOTO TOP OF LOG02

GOTO HOME