にっぽん丸
新春の瀬戸内海・九州
初詣クルーズ
2001年1月4日〜1月8日

博多港のにっぽん丸

私の21世紀の乗り初めは「にっぽん丸」の初詣クルーズになりました。お正月明けの4泊5日のクルーズはレストランがワンシッティングでも空席が多少出る程度の乗船率です。今回はクルーズ初体験の母親と同行することになりました。

運行スケジュール
1/4(木) 19:00 神戸出港
1/5(金) 10:15 別府入港
18:00 別府出港
1/6(土) 08:00 博多入港
18:00 博多出港
1/7(日) 09:00 尾道糸崎入港
19:00 尾道糸崎出港
1/8(祝) 10:00 神戸入港

4泊5日で終日航海日が無く3ケ所の帰港地、スケジュール表を見ただけでも疲れそうな日程です。しかし、ほとんど瀬戸内海だけで船酔いの心配がなく3ケ所も観光ができるのは、クルーズ初体験の母親にとっては打ってつけです。おまけにドルフィンズクラブ会員の私には21%引き(同行者は10%引き)の特典もあり、このクルーズに参加することを決めました。運良く最廉価のステートルームCが予約できたので、21%引きの私は109,020円の料金でした。

1.神戸(1月4日)

「にっぽん丸」は、前日の1月3日16:00にグアムから東京に戻り、その後東京から神戸まで廻航してくる予定。天気予報では季節風が強く太平洋はかなりシケている様子、予定通りに神戸に入港しているか心配になりました。神戸の実家からタクシーで港に向かいましたが、ポートターミナル手前で「にっぽん丸」の姿を確認した時には安心しました。出港の時、ブリッジ下のデッキの手すりには塩がついており、神戸までの回航では波が高かったことが想像できました。

この日の夕食では、私にとって初めて船上で誕生日を祝って頂きました。もう誕生日を祝う年令でもなくなりましたが嬉しいものです。船室にあった案内状をレストラン入口で渡すと中央のテーブルに案内されました。この日の和食のメニューが進む中、この日誕生日を迎えた人が紹介されました。この日は3人が誕生日で、私は2番目に紹介されました。HAPPY BIRTHDAY TO YOUの合唱の後、ケーキに立てられた5本のロウソクがなかなか消えずに苦労しました。船長からのメッセージカードと、この時の写真をプレゼントとして頂きました。ケーキは同席の方にも食べて頂きましたが、年輩の方ばかりで御迷惑になってしまったかもしれません。

記念撮影とメッセージカード

2.別府(1月5日)

別府港では、関西汽船が普段使用している岸壁に着岸します。時間調整のため「にっぽん丸」は別府の沖合いで周回していました。関西汽船の岸壁には、「さんふらわあこがね」が接岸中で、沖合いからは「さんふらわあこばると」が接近中でした。「さんふらわあこばると」が「にっぽん丸」の横を通り過ぎていくと、「にっぽん丸」も「さんふらわあこばると」の後を追います。入り換わりに「さんふらわあこがね」が別府港から出てきました。

別府港に入港する
「さんふらわあこばると」
四国・八幡浜からの
「べっぷ2」

朝日に生えて鮮やかな別府の街に近付くと街の後ろのなだらかな丘陵から、所々湯煙があがっているのが見えます。別府港では、「さんふらわあこばると」が「さんふらわあこがね」の停泊していた岸壁に着き、「にっぽん丸」はその横(北側)の岸壁に接岸しました。

別府入港


別府では、初めてショアーエクスカーション(オプショナルツアー)に参加しました。このクルーズは「初詣クルーズ」を謳っているので、各寄港地では有名な神社を詣るツアーが用意されています。別府からのツアーでは宇佐神宮と熊野磨崖仏へ行きました。お正月の人出も一段落したのか宇佐神宮は人の波もなくゆっくり詣ることができました。熊野磨崖仏へは急な石の階段(坂道に自然石を並べた階段)を昇り降りする必要がありますが、年輩の方も含めて無事詣ることができました。昼食は、城下ガレイの造りや地元和牛のしゃぶしゃぶもあり予想していたよりも良い内容でした。船側が主催するツアーは岸壁から岸壁までの便利さ、船の出港時間も気にすることがない安心さ魅力ですが、料金が高いのが参加を躊躇する大きな要因です。このツアーも1人14,000円で、昼食が良かったことを割り引いても料金が高いと言わざるをえません。

宇佐神宮
熊野磨崖仏

別府港に戻ると、関西汽船の岸壁には「さんふらわあこがね」が出港準備中で、やがて乗用車中心の車が船体に吸い込まれて行きました。出港後入れ代わりに「さんふらわあこばると」が着岸しました。別府港にクルーズ客船が入港すると関西汽船のフェリーは2隻と沖出しすることになるようで、おそらく「スーパースタートーラス」入港時も同じことになるのだと思います。
午後6時、「さんふらわあこばると」と別府の夜景を見ながら「にっぽん丸」は出港しました。別府港には何度かきたことがありますが、日没後の出港は初めてでした。意外に海から別府の夜景が綺麗なのに驚きました。

右端に「さんふらわあこがね」
が見える

別府出港後、船内では畠村船長が出席してウェルカムパーティーが開かれました。その間「にっぽん丸」は別府沖で周回(同じ地点をぐるぐる回っている)を重ねていました。船長がウェルカムパーティーに出ることも考慮したのでしょうか、あるいはパーティーやディナーの際の揺れを低減するためだったのでしょうか。今航海は時間的な余裕があるため時間調整のための同じ地点で周回をすることが多くありました。

この日の夕食は洋食のフルコースでしたが、本クルーズでは和食と洋食が交互に出てなかなかバランスのとれたメニューになっていたように思います。
夜のイベントは菅原洋一ショーでした。安心して聞いていられる歌声で、乗船客の人たちも満足しているように思えました。クルーズのゲストエンターテイナーの選択は難しいことと思いますが、実力派で名の通った歌手が一番無難なところでしょうか。

3.博多(1月6日)

この日の早朝は玄界灘をかすめたので船が揺れましたが、極短時間だったため気分を悪くした人も少なかったのではないでしょうか。博多港では中央埠頭の釜山行きのフェリーやジェットフォイルの乗り場の横に接岸しました。対岸の博多埠頭には、壱岐・対馬へのフェリーやジェトフォイル、市営の渡船(高速船)の乗り場や店鋪等もありますが、人出が少なく冬の寂しさが感じられました。

太宰府天満宮は西鉄太宰府駅前の便利な場所にあるので、ツアーには参加せずに電車で行くことにしました。天神の西鉄福岡駅まではタクシーで約10分1000円の距離です。バスの便も便利で約15分で西鉄福岡駅へ行けます。西鉄福岡駅から太宰府までは電車で約30分です。

太宰府天満宮

太宰府天満宮はさすがに都心から近いため、早朝にもかかわらず多くの人が参拝していました。学問の神様ということもあって参拝者の多くが若い人達でした。
この日の昼食は船内で採りました。クルーズ常連組が多いためか船内で昼食を採る人が意外と多く感じました。この日の夕食が和食のため昼食は洋食でした。ちょっと分量が少ないかなあと思ったら、希望者には稲庭うどんが容易されていました。

午後からは、ポートタワーと福岡タワーに昇って高い所から博多の街を見物しました。無料で登れるポートタワーからは、対岸の「にっぽん丸」を見下ろすことができるのですが、ガラスに強化用のワイヤーが入っていて写真を取るには適しません。おまけに窓のそばまで近寄れないように冊があり、写真にワイヤーがはっきり写ってしまいます。

ガラスが透明なら
(ポートタワーから)

午後6出港後、直ぐに和食の夕食となりました。夕食が終わる頃から僅かな揺れが出だし始めました。今夜のイベントは落語。しかし、私はブリッジ下のネプチューンラウンジで、本クルーズ最大の別のイベントを堪能しました。「にっぽん丸」は午後9時頃から約1時間で夜の関門海峡を通過します。ネプチューンラウンジに双眼鏡を持ちこんで開店時間から約2時間、海峡の入口から出口まで十分に楽しませて頂きました。日本船の中では、「にっぽん丸」のこのラウンジが夜間航行では最高だと思います。テーブルの上には飲み物と、双眼鏡、それに関門海峡の略図の載った手帳を広げて、現在位置を確認しながら、窓外に釘付け状態になりました。他の人が見ると異様だったかもしれませんが、幸運にも(気の毒にも)他のお客さんは誰もおらず、手持ちぶさたなバーテンダーも窓の近くに寄って来て夜の関門を眺めていました。関門海峡の特徴は、航路の狭さや潮流の強さだけでなく航路が曲がりくねっている点でしょう。「にっぽん丸」は頻繁に転舵します。その度に光りの景色が左右に動きます。右舷に小型のLPG船がいる。「にっぽん丸」が右に変針し始めるのと同時にLPG船も変針したようだ。このへんはプロの阿吽の呼吸でしょうか。海峡入り口では正面に見えていた大橋の明かりが、下を潜り抜ける時には消えていて残念でしたが、十分に満足できる海峡通過でした。この時までお客さんは一人も入って来ませんでした。

4.尾道糸崎(1月7日)

「にっぽん丸」は、来島海峡を西に抜けたあと、芸予諸島を左手に見ながら北上し、因島と向島を結ぶ因島大橋の下を通って尾道糸崎港に入港しました。昨日までの好天から一転して空はどんよりしており、入港直後からはみぞれが降り始めました。
この日もツアーには参加せずに、JRで宮島まで向かいました。「にっぽん丸」の岸壁は糸崎駅のすぐ裏にありますが、駅の入り口まではかなりの遠回りをしていく必要があります。糸崎駅から宮島口駅までは1時間30分、そこからJRの連絡船で約10分で宮島まで行けます。周囲の山々には雪が積もり、道路にもシャーベット状の雪が残っています。JRの連絡船は、海の中の鳥居がよく見えるように、大回りして厳島神社の前を通ってから宮島港に入港します。ただこの日は、船内の窓が曇っていてあまり良く見えませんでした。
連絡船の中に潮の干満時刻が表示されていましたが、残念ながら干潮の時間帯で、鳥居や厳島神社の回廊は露天していて、いま一つ荘厳さに欠ける趣きでした。

厳島神社の鳥居

宮島からの帰りはコースを変え、「銀河」に乗船することにしました。宮島の乗り場には「土・日運行」となっていましたが、念のため乗り場で確認してみると、電話で問い合わせてもらった結果「運行するとの回答」。レストラン船「銀河」のランチクルーズは、広島〜宮島〜広島を運行しています。宮島で下船しても良いし、往復乗船しても構わない。乗船してみると広島〜宮島を往復する乗船客は1組、宮島で1組下船したので、今航海は往復ともに2組4人づつの乗客だったようです。これなら乗り場の人が電話で確認した意味が納得できます。これぐらいの乗客数だと、おそらく土日でも運行しない日があるのではないでしょう。残念ながら宮島からの乗船客は食事は食べられず、飲み物だけ注文を受け付けてもらえます。
おそらく牡蠣の養殖と思われるいかだの横を通って、静かな1時間の航海で広島港(宇品)に到着しました。ここからは、路面電車、新幹線、タクシーを乗り継いで「にっぽん丸」に帰りました。

宮島港に入港する
「銀河」

早めに「にっぽん丸」に帰ったので、ゆっくり大浴場につかりドライヤーで髪を乾かしていると、隣で菅原洋一さんもドライヤーを使っていました。こんな光景はクルーズ客船ならではです。
この夜は、フェアウェルパーテイーと洋食のフルコース。この船の食事には満足していた母親が一言文句を言っていたのがステーキの焼き加減。「肉の焼き加減がバラバラや」。幸いにも母の焼き加減は好みから大きく違っていなかったようですが、隣の人の焼き加減が気になったようです。私も気にして見ていると下げられて行く皿の肉汁の量には明らかな差があるように思います。私の皿も、母親に言わせれば「生焼け」だったかもしれません。
夕食の間、菅原英基さんが各テーブルを回ってテーブルマジックを披露してくれました。私のテーブルの近くまで来たと思ったら別の方向に行ってしまいました。どうやら4人テーブルの方がスペースができてマジックがやり易いようで、私の6人テーブルは避けたみたいです。
夕食の後は、夕方大浴場で出会った菅原洋一さんのショー、今夜はギターの弾き語りや桑田圭介の物まねなど、趣向を凝らした演出でしたが、不得手そうでちょっと気の毒でした。
この日、今クルーズでは初めて夜食を食べました。ラーメンと肉マン、あんマンのメニューは初めてでした。年輩の船客が多いためか夜食に訪れるお客の数は僅かでした。

5.神戸(1月8日)

朝、目が覚めると「にっぽん丸」は淡路島の西側を周回していました。これは客室のテレビに船の航跡が表示されているので分かります。やがて明石海峡へ向かい始めると後ろから阪九フェリーが抜いて行きました。明石海峡大橋手前ではダイヤモンドフェリーの昼便とすれ違いました。明石海峡大橋の下を通ったあと食事に行きました。空は昨日の曇が晴れて晴天です。
神戸港ではポートアイランド沖で空港建設工事が始まっているため、ポートアイランド東側から入るためには、かなり沖合いから廻って行かなければなりません。

関西国際空港へ向かう
ジェットフォイル

「にっぽん丸」は定刻通り成人の日の神戸港に帰港したました。

神戸港(1)
神戸港(2)

6.にっぽん丸の船内

1990年建造から11年目を迎えた「にっぽん丸」は、2001年1月末から大規模な改装工事に入ります。ステートルームの改装が主な工事とのこと。既に船室の一つはモデルルームとして改装されていて、今回のクルーズ中見学することができました。自分が使用している船室と較べて明るい雰囲気で改装の効果がはっきり分かる変化です。「にっぽん丸」の船内は比較的メインテナンスが行き届いていますが、階段付近で頻繁に人が通る場所ではカーペットが擦り切れていたり、床がボコボコと凹んでしまう所もあり、古さを感じさせる箇所が何箇所かありました。目に見えて問題だと思う箇所は、今回の改装で修復されていることを期待します。

「にっぽん丸」の公室配置は垂直配置と呼ばれ、船体後部に上下にレストランやラウンジが並ぶ形式です。一方、僚船の「ふじ丸」や日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびいなす」などは、公室が一つのフロアーに船首から船尾まで並ぶ水平配置です。「にっぽん丸」の垂直配置はエンジンの振動から客室を遠ざけることにより客室での快適性を確保する効果がありますが、ウェルカムパーティーが終わった後、ラウンジからレストランまでの移動に狭い通路をゾロゾロ通った後、階段やエレベータを使って下の階に降りるといった、非常に不便な構造になっています。他の水平配置の船と較べるとその差はあきらかで、「にっぽん丸」の垂直配置採用は失敗だったと思います。

7.にっぽん丸の満船飾

2年前に「にっぽん丸」に乗船した際に、満船飾の旗の意味を調べたところ、一部が不明のまま終わってしまいましたが、今回明確になりましたので、再度ご紹介します。

絵をクリックすると拡大表示されます

(1)船首〜レーダマスト
   MITSUI OSK PASSENGER LINE
  (商船三井客船の英文会社名)
(2)レーダマスト〜煙突
   WELCOME TO NIPPON MARU
   LET US GO AROUND THE WORLD
(3)煙突〜船尾
   NIPPON MARU TOKYO
   (船名 と 船籍港)


GOTO TOP OF LOG01

GOTO HOME